【インドネシア進出方法に関するQ&A】
Q1. インドネシアで事業を行う場合、どのような形態がありますか?
A1: インドネシアに進出する際の形態としては、原則として、以下の4つのいずれかとなります。(支店の形態も存在しますが、外国企業については銀行業等の業種に限られます。)
(1)現地法人(株式会社 PT : Perseroan Terbatas)
(2)外国駐在員事務所(KPPA:Kantor Perwakilan Perusahaan Asing)
(3)外国商事駐在員事務所(KP3A:Kantor Perwakilan Perusahaan Perdagangan Asing)
(4)外国建設駐在員事務所(BUJKA:Kantor Perwakilan Badan Usaha Jasa Konstruksi Asing)
現地法人は、外国企業の出資により設立された場合には、外資法人(PMA : Penanaman Model Asing)と呼ばれます。
Q2. 外国駐在員事務所の特徴は何ですか?
A2: 外国駐在員事務所の機能は以下に限定されます。
(1)親会社の企業利益の管理
(2)インドネシアで事業を設立し、開発する準備
外国駐在員事務所は、インドネシア国内の州都(ジャカルタ、バンドン、ジョグジャカルタ、 カリマンタンなど)でのみ設立できますが、オフィスビルまたはタワー内で開設する必要があります。代表執行役が外国人の場合は、インドネシアに滞在し、働くための一時滞在許可証(KITAS)と労働許可が必要です。
Q3. 外国商事駐在員事務所の特徴は何ですか?
A3: 外国商事駐在員事務所の機能は以下に限定されます。
(1)インドネシアの企業やユーザーに対し、親会社の製品の紹介とプロモーション、宣伝ならびに情報または使用法および輸入方法を提供
(2)親会社の製品をインドネシア国内で販売するための市場調査の実施と調査
(3)海外の親会社が必要とする品物の市場調査およびインドネシアの会社への輸出条件に関する情報提供
(4)親会社が輸出目的で指名したインドネシア国内の会社を代表して契約を締結する
外国商事駐在員事務所は、入札や契約署名、請求の決済など、貿易活動や販売取引を行うことは禁じられます。
インドネシア国内の州都および県・市都に設立できますが、オフィスビルまたはタワー内で開設する必要があります。
代表執行役が外国人の場合は、インドネシアに滞在し、働くための一時滞在許可証(KITAS)と労働許可が必要です。
Q4. 外国商事駐在員事務所の特徴は何ですか?
A4: 大臣規定に基づき大規模事業者に分類される外国の建設会社が外国商事駐在員事務所の認可を得ることができます。インドネシア領域内で建設サービス活動を行うことができます。
Q5. インドネシアの公開会社と非公開会社の違いは何ですか?
A5: 公開会社(PT Tbk)には、①Perseroan Publikと②Emitenの2種類があります。①Perseroan Publikは株主数300人以上、払込資本金30億ルピア以上の要件を満たす株式会社を指します。②Emitenは、資本市場に関する法令に従い、株式の公募を行う株式会社を指します。非公開会社(PT Tertutup)は、会社法上定義がなく、株式会社のうち公開会社でないものはすべて非公開会社に当たります。
Q6. 会社設立時の申請書においてどのような事項を記載する必要がありますか?
A6:申請書には以下の事項を記載する必要があります。
(1) 申請する会社の名称および所在地
(2) 申請する会社の有効期限(なしとすることも可能)
(3) 申請する会社の目的および事業内容
(4) 授権資本金および払込資本金の額
(5) 申請する会社の正式な住所
Q7.インドネシアにおいて種類株を発行することは可能ですか?
A7: 会社は株式ごとに異なる権利が付与された異なる種類の株式を発行することができます。
Q8. インドネシアで会社を設立する際の最低資本金はいくらですか?
A8 : 2025年10月以前は100億ルピアの最低払込資本金が必要でしたが、新たに施行されたBKPM規則2021年第5号により、外資系企業は、最低払込資本金が25億ルピアに減額されました。この最低払込資本金要件は会社設立時に満たす必要があります。なお、払込時点から12カ月間、会社の銀行口座から移動してはいけません。ただし、資産の購入、建物の建設および/又は、事業運営のための支出に用いる場合はこの限りではありません。
Q9. 外資企業が必要な最低投資金額はいくら必要ですか?
A9:最低投資金額は、100億ルピアが必要です。また、複数拠点をもつ事業の場合、1事業ロケーションごとに100億ルピアの投資が必要です。ただし、飲食業の場合には、県(Kebupatan)、または市(Kota)単位での投資が必要であり、同県・市内であれば、複数の店舗等を営むことが可能です。また、電気自動車充電ステーション事業においても、投資額が州(Probinsi)単位で計算され、同州内であれば複数拠点での事業運営が可能です。
さらに、100億ルピアの投資額は、土地建物を除いた金額で計算することが通例ですが、a)不動産業、b)宿泊施設、c)プランテーション、e) 畜産、f) 養殖に関する事業においては、土地、建物を投資額の判定に含めることが可能です。
Q10. 最低投資金額について報告する必要がありますか?
A10:最低投資金額は事業許可の監督のため、事業者が投資活動の進捗・実績を報告する義務が規定されており、LKPM(Laporan Kegiatan Penanaman Modal)と呼ばれる投資活動報告を行う必要があります。中小企業では半年ごと、外資系企業のような大規模企業は四半期ごとの提出が必要です。なお、2025年10月に施行されたBKPM規則2021年第5号において、それまでは免除されていた石油ガス上流部門、銀行、保険業における事業者にも報告義務が課されています。報告においては、投資実現額、雇用者数、生産、販売実績、輸入における免税優遇を受けた機械・資材などの投資金額、産業分類別、所在地別の投資額についても報告が必要です。
【インドネシアの会社法に関するQ&A】
Q1:株主は何名必要ですか?
A1: 2名以上の株主が必要です。会社設立後に、株主が1名になった場合には、6か月以内にその状態を是正しなければなりません。
Q2:減資手続きは難しいですか?
A2:減資を行うには、株主総会における特別決議が必要です。
株主総会で減資決議がなされた場合、取締役会は決議の日から7日以内に1紙以上の新聞に公告する方法で減資に係る決議がなされた旨を債権者に通知する必要があります。債権者は、当該公告から60日以内に、減資に対する異議を理由とともに会社に対して書面で通知することができ、その場合、法務人権省に対してその写しを送付することが必要です。会社は当該書面による異議申立てから30日以内に、当該通知に対して書面で回答する必要があります。そして、債権者は①当該回答の中で会社が債権者の異議申し立てを拒絶した場合、もしくは当該回答から30日以内に債権者が合意できる解決案を提示しなかった場合、または②債権者から異議申立てを受けてから60日以内に会社が回答しなかった場合に、管轄の地方裁判所に対して、訴えを提起することができます。
Q3:取締役は何名必要ですか?
A3:非公開会社においては、取締役は1名以上必要であるとされています。一方で、公開会社(Perseroan Terbuka)では公衆からの資金の調達または運用に関する事業を行う会社および公衆に対して社債を発行する場合には、2名以上の取締役を選任する必要があります。
Q4:定款を作成する必要がありますか?
A4:定款は、会社設立申請のために法務人権省へ提出する設立証書の記載事項となっているため作成する必要があります。
Q5:株主総会を定期的に開催する必要がありますか?
A5:年次株主総会は、会計年度終了後6か月以内に開催しなければならないとされています。その他、臨時株主総会は、会社の利益のために必要とみなされるときにいつでも開催することができます。
株主総会の招集の際には、取締役会が原則として株主総会の開催日と通知日を含まないで、14日前までに、書留郵便および/または新聞への公告掲載により通知する方法により行われます。ただし、議決権付株式を保有する全ての株主が株主総会に出席し、議案が全員一致で承認された場合には招集通知を省略し、有効に決議を行うことが可能です。公開会社の場合の招集には開催日の21日前までに行う必要があります。
Q6. インドネシアにおいて監査役を選任する必要はありますか?
A6: 1名以上選任する必要があります。日本における監査役にあたる機関は、インドネシアではコミサリスと呼ばれます。コミサリスは、日本の監査役とは異なり、取締役の権限を一時的に制限することができるなど強力な権限を有していることが特徴です。
Q7:取締役の報酬は自由に決めて良いのですか?
A7:原則として、株主総会の普通決議により決定されます。ただし、コミサリスに権限が委譲された場合にはコミサリスにより決定されます。
Q8:取締役の責任は何ですか。
A8:会社法では、取締役は会社の目的および目標達成のため、会社の利益のために会社を経営する義務を負い、会社経営において誠意をもって行動しなければならないとされており、取締役は会社に対し忠実義務を負っていると解されています。
また、取締役会は、株主名簿、特別株主名簿、株主総会議事録および取締役会議事録ならびに年次報告書その他財務諸表を作成し、本店所在地に保管する義務があります。また、取締役が会社と利益相反する行為は禁止されており、会社と取締役が利益相反の関係にある場合は、取締役は会社を代表することはできません
Q9:取締役と会社が利益相反の関係にある場合には、誰が会社を代表しますか。
A9:会社法上、取締役が会社と利益相反する行為は禁止されています。会社と取締役が利益相反の関係にある場合は、取締役は会社を代表することはできず、この場合、a)会社との間で利益相反の関係にない他の取締役、b)全取締役が会社との間で利益相反の関係にある場合にはコミサリス会、または、c) 全取締役およびコミサリス会が会社との間で利益相反の関係にある場合には株主総会が指定した第三者が会社を代表することになります。
Q10:どのような場合に取締役の個人責任が追及されますか。
A10:取締役は、義務遂行における過失または故意により会社に損害が生じた場合には、当該損害について完全かつ個人的に責任を負うこととされており、取締役が2名以上で構成される場合には、連帯責任を負います。ただし、a) 損害が当該取締役の故意または過失によるものではないこと、b)会社の目的達成のために誠実かつ注意義務を尽くして経営を行ったこと、c)当該損害発生につながる経営判断について、直接・間接を問わず利益相反が存在しなかったことが証明される場合には、取締役は責任を負いません。
【インドネシアの労働法に関するQ&A】
Q1. インドネシアの最低賃金額はいくらですか?
A1:インドネシアの最低賃金額は全国一律ではありません。
毎年1月に改定され、地域ごとに最低賃金額が定められています。たとえば、2026年のジャカルタ首都特別州では、5.729.876ルピア、ブカシ県5.938.885ルピア、ブカシ市5.999.443ルピア、カラワン県5.886.853ルピア、デポック市5.522.662、ボゴール市5.437.203ルピアです。
Q2. インドネシアで雇用契約書の締結は必須ですか?
A2: 会社が労働者を直接雇用する場合には、雇用契約はすべて書面にする必要があります。雇用契約に関わらず、インドネシアでは、インドネシアの法人、政府当局または国民との間で契約を締結する場合には、インドネシア語による記載が義務付けられておりますので注意が必要です。
Q3. 雇用契約書に記載する必要がある事項は何ですか?
A3: 以下が必須記載事項です。
①会社の名称、所在地及び業種、②労働者の氏名、性別、年齢及び住所、③職業又は職種、④勤務地、⑤賃金及び支払方法、⑥会社及び労働者の権利及び義務を記載した職務要件、⑦労働契約の効力発生日及び有効期間、⑧労働契約書が作成された場所及び日付、⑨契約当事者の署名
Q4.インドネシアにおいて試用期間の規制はありますか?
A4: 無期雇用の労働者に対してのみ、個別の雇用契約に明記していれば、最長3か月間の使用期間を設けることができます。
Q5.インドネシアの労働時間の規制は日本と同じですか?
A5: 週6日の場合には、1日7時間以下、週40時間以下です。週5日の場合には、1日8時間以下、週40時間以下です。時間外労働については、労働者から合意を得たうえで、1日3時間、週14時間まで可能です。
Q6. インドネシアの休憩時間の規制はありますか?
A6: 連続4時間の労働に対して30分以上の休憩を付与する必要があります。
Q7. インドネシアの時間外労働手当の割増率はいくらですか?
A7: 平日は、最初の1時間は時給(1か月分の固定給×1/173で計算)の1.5倍、その後の時間は時給の2倍を支払う必要があります。
休日は、週6日勤務(祝日)の場合は、5時間目までは時給の2倍、6時間目は3倍、7、8時間目は4倍です。週6日勤務(祝日以外)の場合は、7時間目までは時給の2倍、8時間目は3倍、9、10時間目は4倍です。週5日勤務の場合は、8時間目までは時給の2倍、9時間目は3倍、10時間目は4倍です。
Q8. インドネシアの有給休暇は何日ですか?
A8: 勤続1 年以上の労働者は、有給休暇を取得する権利が法律上保障されています。労働者が継続して1年勤務した場合には、最低12日間の有給休暇を付与しなければなりません。また、就業規則等に長期休暇の制度を定めている場合には、勤続期間が継続して6年間に達した場合には、勤続7年目と8年目に各1か月以上の長期休暇を付与することができます。
Q9. インドネシアでは、どのような場合に解雇が認められていますか?
A9:以下の場合には、解雇を行うことができます。
・会社が合併、分割、支配権移転等を行い、労働者または雇用者が雇用の継続を望まない場合
・会社が損失を被っていることを理由に整理解雇を行う場合
・有期雇用契約における期間の満了
・会社が2年連続で損害を被ったことにより閉鎖する場合
・会社が不可抗力により閉鎖する場合
・会社が支払停止状態となった場合
・会社が破産する場合
・使用者が不当行為等を行ったことを理由に労働者が雇用関係の終了を申し出た場合
・労働裁判所が使用者による不当行為等は存在しない旨の判決を出し、使用者が解雇を決定した場合
・自己都合退職
・労働者が5日以上無断欠勤し、使用者から2回呼び出しを受けた場合
・労働者が雇用契約、就業規則に違反し、既に3回連続で警告を受けた場合
・労働者が犯罪の嫌疑で6か月間拘束され就業できない場合
・長期疾病・業務上の災害により12か月を超えて就労できない場合
・定年退職
・労働者が死亡した場合
Q10. インドネシアには社会保障制度がありますか?
A10: 労働者は基本的に、BPJS(Badan Penyelenggara Jaminan Sosial)と呼ばれる社会保障制度の対象となります。健康保険、高齢保障、労災保障および年金を取り扱っています。使用者は労働者を同制度に登録する義務を負っており、労災保障以外については、使用者および労働者双方が保険金を負担する必要があります。
Q11. 正社員(無期雇用契約)の退職金はいくらですか?
A.11:退職金は退職理由によって支払うべき金額が変動します。
無期雇用契約での退職金は(1)退職手当(Uang Pesangon)、(2)功労金(Uang Penghargaan Masa Kerja)、(3)権利補償金(Uang Penggantian Hak)、(4)離別金(Uang Pisah)の4つに分類されています。
(1)退職手当は勤続期間が1年未満で固定給の1ヶ月分、2年未満で2ヵ月分、3年未満で3ヶ月分と勤続年数に比例して増えていき、8年以上からは9ヵ月分を支給する必要があります。
(2)功労金は3年以上6年未満で固定給の2ヵ月分、6年以上9年未満で3ヶ月分、9年以上12年未満で4ヵ月分と勤続年数に比例して増えていき、24年以上の場合は10ヶ月分を支給する必要があります。
(3)権利補償金は、勤務期間に受けられるはずだった権利を補償する義務であり、未消化分の有給休暇の買い取りや退職後の採用地までの帰省費用などが含まれます。
(4)離別金は、労働協約、就業規則などで規定する場合に支払いが必要です。
退職理由に応じて、上記で規定される金額に対して支払いの必要性や割合について、以下の通り規定されています。

Q.12 契約社員(有期雇用契約)の退職金はいくらですか?
A.12:会社は、有期雇用契約に基づき雇用される従業員に対し、契約の終了時に補償金を支払う義務を負う。有期雇用契約での従業員が雇用期間を満了した場合に、補償金額は以下のように規定されています。
賃金×勤続月数÷12
賃金は、基本給および固定手当を含んだ金額で計算し、雇用契約が、契約上予定された期間よりも早く業務が完了したことにより終了する場合、補償金は業務が完了した時点までを基準として計算します。また、勤務開始から退職までの期間に、端数となる1ヶ月に満たない日数が生じた場合には、計算上、切り捨てられることが慣例です。
【インドネシアのビザに関するQ&A】
Q1. インドネシアで働く場合、どのようなビザを取得する必要がありますか?
A1: 就労を目的としてインドネシアに来る場合、たとえ短期間でも就労ビザの取得が必要です。
インドネシアでの就労を目的として入国する外国人に対して付与される就労ビザは一般的に、一時滞在就労ビザ e-visa(E23)(旧312)と呼ばれます。
インドネシア現地法人で働くためには、就労許可と滞在ビザがセットで必要です。
まず、労働省宛にNotifikasi(旧IMTA)と呼ばれる就労許可証の申請を行い、承認を得た後、ビザの取得とITAS(旧KITAS)と呼ばれる一時滞在許可証を取得する必要があります。
一時滞在就労ビザの有効期限は一般的に1年間で、延長は最長5年間まで可能です。
そのほかにも以下のようなビザがあり、それぞれ商用目的で短期的な入国は可能です。
1. 一時滞在ビザ e-visa(C2、5、10、17、19、20)(旧211シングルビザ)
2. 一時訪問ビザ(D1、2、17)(旧212マルチプルビザ)
3. 到着ビザ
Q2. 一時滞在就労ビザ(E23)(旧312)の取得要件はありますか?
A2: 原則として、一時滞在就労ビザを取得するためには以下の要件を満たす必要があります。
・大学卒
・就労予定の役職要件に応じた学歴を有していること
・就労予定の役職に従った、少なくとも5年間の就業経験を有すること
・60歳未満であること
Q3. 一時滞在就労ビザの有効期限はありますか?
A3: 通常、12か月間滞在することができます(会社役員は最大24か月)。5回まで延長することができます。ただし、Q2での条件が揃わない場合、半年の一時滞在ビザの取得が可能です。(1年のビザと異なり、更新はできず半年ごとの申請が必要。)
一時滞在ビザ発行後、90日以内に入国する必要があります。
Q4. インドネシアで外国人が就労するために必要な手続きはどのように行うのですか?
A4: まず、外国人を雇用する会社が、①外国人従業員雇用計画書(RPTKA)を、外国人就労手続きのオンラインシステム(TKA Online)を通じて労働移住省に提出します。そして、RPTKAの承認が下りたら通知書が送られてきますので、②外国人労働者雇用補償金(DKP-TKA)の支払いをします(外国人1人につき、就労期間1か月に当たり100ドル)。DKP-TKAの納付をした後、③入国管理総局による一連の審査が行われ、承認されるとe-visaが発行されます。④e-visaが発行されてから90日以内に従業員本人がインドネシアに入国し、一時滞在許可証(ITAS)を取得します。
Q5. 一時滞在就労ビザの申請のための必要書類は何ですか?
A5: 雇用する企業と従業員とで必要書類が異なり、一般的に以下の書類が必要になります。
【企業】
(1) 受け入れ企業代表者または採用担当者の身分証明書
(2) 従業員報告書
(3) インドネシア社会保険(BPJS)加入証明書
(3) 銀行口座明細(直近3ヶ月分)
(4) 会社組織図
(5) 会社登録証明書
(6) 定款認証
(7) 納税者番号
(8) 所在地証明書
(9) 登記簿謄本
(10)雇用契約書
(11)営業許可証
(12)インドネシア人従業員の身分証明書(KTP)
【従業員】
(1)パスポートのコピー
(2)パスポート(18か月以上有効)
(3)健康保険加入証明書
(4)証明写真
(5)英文経歴書
(6)英文卒業証明書
(7)過去の在職証明書
(8)雇用契約書
【インドネシアの不動産法制に関するQ&A】
Q1. 外国会社がインドネシア国内の土地を取得できますか?
A1: 原則として、インドネシア国民個人のみが土地に対する所有権を持つことが認められているため、法人が土地の所有権を取得することはできません。もっとも、事業権、建設権および使用権は外国会社を含むインドネシア法人も取得することが認められています。
Q2. インドネシアの土地の登記はどのような効力を有していますか?
A2. インドネシアの登記制度においては、土地に関する権利は国土庁の管轄下の各地方の土地管理局に登記されなければならないとされています。インドネシア法上、当事者間の土地の権利の移転は、土地譲渡証書の締結により生じると考えられているため、登記によって権利の移転が確定するといった効力はありません。もっとも、第三者に対して土地の権利を主張するためには、土地管理局における登記簿への登録および土地権利証の名義変更手続を完了する必要があると考えられています。
Q3. インドネシアの土地の登記は第三者も閲覧できますか?
A3: インドネシアの土地登記簿は非公開とされているため、第三者は閲覧することができません。したがって、土地を取引する場合には、売主から土地権利証の開示を受ける必要があります。
Q4. インドネシアにおいて土地と建物は別個の権利対象となりますか?
A4. インドネシア法上、土地と建物は別個の不動産として扱われ、個別に権利設定の対象となります。もっとも、建物は区分所有権を除き、単独では登記の対象とはならず、土地の付着物として土地の登記に付記されます。
【インドネシアの外資規制に関するQ&A】
Q1. インドネシアでは外資はどのような業種を行うことが可能ですか?
A1. インドネシアの外資規制は、投資法および投資分野に関する大統領令により定められています。2020年に、雇用創出オムニバス法が制定されたことに伴い、投資分野に関する大統領令2021年10号が制定されました。これにより、投資禁止業種が従来の20業種から6業種に大幅に削減され、内資と外資の区別も廃止されました。
投資が禁止される分野は、以下のとおりです。
(1)麻薬等栽培製造
(2)賭博・カジノ業
(3)ワシントン条約記載の魚類の捕獲
(4)サンゴの採取や利用、建材・石灰・カルシウム、水族館等
(5)化学兵器産業
(6)工業化学原料とオゾン層破壊原料産業
また、外資規制がある事業分野が定められた、いわゆる条件付き分野の内容についても改定されました。従来350業種あった事業分野が46業種に大幅に削減されています。
その他、中小企業のために留保されている中小企業留保分野が112業種、中小企業との協業が必要な中小企業協業分野が51業種あります。中小企業留保分野については、外資企業は参入できないことになっており、中小企業協業分野は外資企業も参入できますが、現地の劉章企業と協業する必要があります。
Q2. インドネシアでフランチャイズ規制はありますか?
A2: インドネシアではフランチャイズ規制が存在します。内資・外資を問わず、フランチャイザーおよびフランチャイジーは、フランチャイズ登録証明書を取得する必要があります。登録にあたっては、インドネシア語の申請書を作成する必要があり、外国語の文書については正式な翻訳が必要です。また、事業書の提出時点から遡って2年間分の財務諸表または貸借対照表を提出する必要があります。
さらに、国外のフランチャイザーは、所在する国のインドネシア大使館から事業書に対して法的認証を受ける必要があります。
Q3. インドネシアにおいて外国人雇用規制はありますか?
A3: 国内直接投資(DDI)企業については、外国人はコミサリスの職に就くことができません。また、外国人は以下の職に就くことはできません。
・人事役員
・産業関連マネージャー
・人事マネージャー
・人事開発責任者
・人事採用責任者
・人事配置責任者
・従業員キャリア開発責任者
・人事管理担当者
・最高経営責任者
・人事・キャリア専門家
・人事専門家
・キャリアアドバイザー
・職業アドバイザー
・職業指導およびカウンセリング
・従業員仲裁者
・職業訓練管理者
・採用面接者
・職業アナリスト
・労働安全スペシャリスト
【インドネシアの解散、清算及び破産に関するQ&A】
Q1. インドネシアでは会社の解散事由はどのようなものがありますか?
A1: 会社法上、以下の6つの解散事由が定められています。
(1)株主総会決議がなされた場合
(2)定款に記載された会社の存続期間が満了した場合
(3)裁判所の決定がなされた場合
(4)破産費用の支払いができないことを理由として商務裁判所から破産手続の取消決定がなされた場合
(5)破産宣告を受けた会社の財産財団が破産法に規定される債務超過状態にある場合
(6)会社の営業許可が取り消され、法令に従い会社の清算が求められている場合
Q2. 株主総会により解散決議はどのように行われますか?
A2: 取締役会、コミサリス会または10%以上の株式を保有する株主が解散提案を行った上で、株主総会では、4分の3以上の株式を有する株主が出席し、出席株主の4分の3以上の賛成が必要です(特殊決議)。
Q3.清算の手続はどのように行われますか?
A3: 株主総会により解散決議がなされた後、清算人は、当該解散決議日から30日以内に、全債権者に対して解散した旨を新聞および官報にて公告し、法務人権省に対して解散決議を行います。
債権者に対する通知事項は、①会社が解散した旨、②清算人の氏名・住所、③債権届出の提出方法、④債権の届出期間、です。
法務人権省に対する通知は、①会社が解散した法的根拠、②債権者に対する新聞広告の添付が必要です。
【インドネシアの裁判及び仲裁制度に関するQ&A】
Q1. インドネシアの裁判制度はどのようになっていますか?
A1: インドネシアの司法権を担う機関は、最高裁判所、最高裁判所の下に位置づけられる裁判所と憲法裁判所で構成されています。最高裁判所の下に位置づけられる裁判所とは、地方裁判所、高等裁判所の他、行政裁判所、宗教裁判所、労働裁判所、軍事裁判所、税務裁判所、商業裁判所、汚職裁判所、人権裁判所、少年裁判所および漁業裁判所です。
Q2.インドネシアの民事訴訟制度はどのようになっていますか?
A2: 民事上の請求は、原告が訴訟費用を支払い、訴状を裁判所に提出することにより開始される。訴訟開始は、高等裁判所においては、召喚令状、呼出状、請願書などにより、下級裁判所においては、召喚状により行われます。
請求書に対し反論する意向を有する被告は、出廷予告書を裁判所に提出する必要があり、提出しない場合、欠席判決が下されます
その後、相互に答弁書を提出し、書類の証拠開示手続が行われ、証拠が交換されます。これらの手続を経て、事実審理が行われます。
Q3.インドネシアにおいて日本の判決は執行されますか?
A3:インドネシアでは、外国の判決をインドネシアで執行することができる制度は設けられていないため、執行されません。裁判所による解決を図る場合には、改めてインドネシアの裁判所において訴訟を提起する必要があります。
Q4. インドネシアにおいて労働事件に関する特別な取扱は存在しますか?
A4: 労使紛争解決手続としては、①二者間協議、②労働移住省における手続(斡旋、調停または仲裁)、③労働裁判所・裁判所があり、この流れで手続が行われます。
Q5. インドネシアにおける仲裁制度はどのようになっていますか?
A5: 仲裁法が存在しますが、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の国際商事仲裁に関するモデル法に依拠していないため、国際標準とは異なる制度となっています。
インドネシアには、BANI(インドネシア仲裁委員会・Badan Arbitrase Nasional Indonesia)があり、インドネシア国内で仲裁を行う場合には、BANIが利用されることが多いと考えられます。
その他、インドネシアは、外国仲裁判断の承認および執行に関する条約(ニューヨーク条約)を批准しているため、同条約および仲裁法の拒絶事由に該当しない限り、JCAA(日本商事仲裁協会)、SIAC(シンガポール国際仲裁センター)などの外国仲裁機関の行った仲裁判断をインドネシア国内で承認および執行することができます。
仲裁法上、外国仲裁機関の承認および執行は、ジャカルタ中央地方裁判所が取り扱うこととなっており、仲裁人またはその代理人は同裁判所に対し、仲裁判断を提出して登録を行った上で、執行命令を取得するための申立てを行う必要があります。
【インドネシアの特許法に関するQ&A】
Q1.どのような発明なら、特許を取得できますか?
A1.発明が、新規性・進歩性及び産業上利用可能であれば、その発明は特許を受ける事ができます(特許法3条1項)。
Q2.発明とは、どのように定義されていますか?
A2.インドネシアでの発明の定義は、
「特定の技術的な問題の解決のために創作された発明者の技術的思想であって、物または方法の改良および改善(特許法1条2項)」です。
Q3.特許を受けることができない発明はありますか?
A3.特許を受けることができない発明として、以下の(1)~(5)が挙げられます。
(1)その公表、使用または実施が、法規、宗教、公共の秩序または道徳に反する方法または道徳に反する方法または物
(2)人および・または動物に対する検査、看護、治療および・または手術の方法
(3)科学および数学の分野における理論および方法
(4)微生物を除く生物
(5)植物または動物の生産に必須の生物学的方法、ただし、非生物学的方法または微生物学的方法を除く
【インドネシアの商標法に関するQ&A】
Q1. 商標を登録すると、どんなメリットがありますか?
A1.商標が登録されれば、その商標を侵害している者に対して、民事訴訟、刑事訴訟または税関差止めを通して権利行使をすることができます。
Q2. 商標の出願の流れは,どのようになっていますか?
A2.「出願→方式審査→出願公告開始→異議申立期間(出願公開開始から2か月)→出願公告終了→実体審査→登録査定→登録」という流れになっています。
Q3. 登録できない商標としてはどのようなものがありますか?
A3. 登録できない商標(登録不能事由)としては、
・国家のイデオロギー、法律・規則、道徳、宗教、良俗または公の秩序に反する標章
・指定商品・役務の説明に過ぎない標章、これらに類似または関連する標章
・指定商品・役務の出所、品質、タイプ、サイズ、意図された使用方法を誤認させる可能性のある要素を含んでいる標章、または指定商品・役務に類似する保護された植物の新品種の名称を構成する標章
・識別性を有する特徴がない標章
・一般名称、公共のサインとなっている標章
また、登録されている同一または類似の指定商品・役務がある場合は、登録拒絶事由に該当し、正当な権限を有する者の書面による同意があれば登録が認められます。
Q4. 登録された商標を第三者へライセンス供与することは可能ですか?
A4:インドネシアでは登録された商標について第三者へライセンス供与(使用許諾)することが認められています。
ライセンス契約は商標権者(ライセンサー)と使用許可を受ける側(ライセンシー)との間で締結され、その内容には通常、独占的か非独占的かといった許諾形態、サブライセンスの可否、契約期間、当事者の権利義務、許諾対象の商標および商品・役務の範囲などが定められることが一般的で、インドネシア商標法上、商標ライセンス契約は知的財産総局への登録が義務付けられています。登録をしないと第三者に対抗できません。また、インドネシアの経済発展を阻害しないこととするという制限もあり、公序良俗に反する内容を含めてはなりません。
Q5. 商標権の譲渡は可能ですか?
A5:インドネシアでは商標権(登録商標)を他人に譲渡することが認められています。譲渡は通常、売買・企業買収・グループ内移転・相続などにより発生しますが、いずれの場合も譲渡契約書を作成し、知的財産総局への名義変更登録を行う必要があります。
Q6. 商標の登録後、使用していなくても問題はありませんか。
A6. 商標は登録後、できる限り早期に使用を開始することが望まれます。登録後一定期間、正当な理由なく使用されていない場合、利害関係人から不使用取消請求を受け、商標登録が取り消される可能性があります
Q7. 商標登録後に取り消しとなった実例はありますか。
A7. あります。インドネシア最高裁は、2015年の判決において、スウェーデン発家具大手 IKEA の商標「IKEA」について、利害関係人の申立てを受け、インドネシア国内で3年間実使用がなかったことを理由に不使用取消を認めました(最高裁判決第264 K/Pdt.Sus-HKI/2015号)。同判決は、著名性や海外での使用実績のみでは商標権は維持できないと判断しています。
このように、インドネシアで商標登録があっても、実使用がない場合には取消される可能性があるため、登録後は早期に使用を開始することが重要です。
Q8. 商標の不使用とされる基準、要件はありますか。
A8 商標法では、登録後3年間、正当な理由なく商標が使用されていない場合、不使用取消の対象となることが規定されています。ただし、どのような行為が「使用」に該当するかについては、法令上明確な定義はありません。
本事件では、商標権者が販売開始前に「IKEA」商標を登録したものの、その後3年間にわたり、インドネシア国内で店舗開設、商品販売、輸入、広告等の実使用が認められなかったため、不使用を理由として商標登録が取り消されました。
【インドネシアの弁護士制度に関するQ&A】
Q1:インドネシアの弁護士資格はどうすれば取得できますか?
A1:インドネシア法の弁護士資格は、25歳以上のインドネシア国内に居住するインドネシア国民しか取得することができません。法学部(4年制)を卒業したのち、統一弁護士会(PERADI)の法律専門家コースを修了し、同会が実施する弁護士試験に合格した上で、弁護士の事務所で2年間のインターン活動をすることにより取得できます。
Q2:インドネシアに弁護士会はありますか?
A2:2003年に制定された弁護士法により統一弁護士会(PERADI)が唯一の弁護士会として2004年に発足しましたが、その後分裂し、現在ではKongres Adovokat Indonesia (KAI)等の複数の弁護士会が存在しています。
Q3:インドネシアに司法書士や行政書士等の隣接法律職はありますか?
A3:インドネシアには、弁護士の他に、法務コンサルタント、土地証書作成官(PPTA)および公証人(ノタリス)が存在します。法務コンサルタントは、法律に関連した助言を行い、訴訟に直接関連したサービス以外の業務を行うことができます。土地証書作成官は、土地に関連する権利の登記等の業務を行います。公証人は、土地証書以外の公正証書の作成を行います。
【雇用創出オムニバス法に関するQ&A】
Q1:最近、雇用創出オムニバス法が制定されたと聞きましたが、どのような内容ですか?
A1:雇用創出オムニバス法は、2020年11月2日に施行された法律で、雇用創出のための投資誘致を目的として、労働、投資など11分野について、関連する法律79本を一括して改正したものです。
11分野のうち、事業許認可、投資要件、労働、中小零細企業、事業便宜、土地収用、経済地区の7つの分野については、企業の事業活動に大きく関係する分野であるといえます。たとえば、最低賃金の算定方法改正や退職手当の引き下げ、外資規制の緩和など、企業がインドネシアに進出する上で、極めて重要な内容が多く含まれています。
もっとも、同法には、実質的な内容について、大統領規程や政府規制に委任する条文が多く、不透明な部分が多いことから、今後の細則整備の進捗とその内容を注視する必要があるといえます。
Q2:雇用創出オムニバス法による今後の運用について注意すべき点はありますか?
A2:2024年10月31日、インドネシア憲法裁判所は、インドネシアの労働組合からの申し立てに対して、7つの項目、(1)外国人労働者に関する規定、(2)有期雇用契約、(3)アウトソーシング、(4)休暇、(5)解雇、(6)賃金、(7)退職金に関する内容の一部について、条件付き違憲判決が下されました。
本判決は総じて、労働者の権利を根強くするものとされております。現在、憲法裁判所は、新しい労働法の策定と、現在の労働法から本判決に関する規定の削除と改正を要求しており、今後、本判決に沿った新しい労働法規定の策定が予想され、その法令の下では、本判決では示されなかった、より具体的な内容にも言及されるものと思われ、静観が必要です。
Q3. 2024年オムニバス法の一部を違憲とする判決はどのような内容ですか。
A3. 2024年10月31日付憲法裁判所判決第168/PUU-XXI/2023号において、インドネシア憲法裁判所は、インドネシアの労働組合からの申し立てに対して、7つの項目、(1)外国人労働者に関する規定、(2)有期雇用契約、(3)アウトソーシング、(4)休暇、(5)解雇、(6)賃金、(7)退職金に関する内容の一部について、条件付き違憲判決を下しました。
本判決は総じて、労働者の権利を根強くするものとされています。
具体的に以下のような申し立てと判決が下されています。
(1)外国人労働者に関する規定(改正オムニバス法第42条)
・申請:オムニバス法では外国人労働者には「特定の役職」のみに就労できる規定があるが、不明確である。
判決:多様な解釈が可能でありインドネシア人労働者の権利を侵害する可能性があるという点から、外国人労働者には、特定の証明が必要であり、役職に適したスキルが確認されなければならない。また、外国人労働者はインドネシア人労働者に技術と専門知識の移転を保証する必要があり、違反した場合、RPTKA(外国人労働計画の承認)が取り消され、更新も拒否されるべき。
(2) 有期雇用契約(改正オムニバス法第57条)
・申請:書面で雇用契約書が作成されない場合、労働者の権利が損なわれてしまう可能性がある。
判決:インドネシア語およびラテン語での書面作成を必須とした。また、契約期間は最長5年間であることを再確認している。
(3) アウトソーシング(改正オムニバス法第64条)
・申請:アウトソーシング可能な業務の範囲についての明確な法的基準が欠如している。
判決:労働大臣はアウトソーシング可能の対象となる業務の種類と分野を指定する必要がある。
(4) 休暇と賃金(改正オムニバス法第79条)
・申請:週6日勤務の従業員への1日間の週休は明記されているが、週5日勤務の従業員に対する2日間の週休が明記されていない。
判決:法律には「1日間の休暇(週6日勤務)」または「2日間の休暇(週5日勤務)」が含まれるべきである。
(5) 解雇(改正オムバス法第154条)
・申請:解雇に関連する補償や解決プロセスの説明が不十分である。
判決:雇用者は労働者との協議を尽くした後で、労働裁判所の判決を得て、初めて従業員を解雇することができ、それまでの間は給与を支払わなければならない。
(6) 賃金(改正オムニバス法第90条)
・申請:「最低賃金以上の賃金は、雇用者と労働者の間での合意に基づいて決定される」という規定が労働者の権利を損なう可能性がある。
判決:「最低賃金以上の賃金は労働者、雇用者、および労働組合の間で合意に基づいて決定される」と規定するべき。
(7) 退職金(改正オムニバス法第156条)
・申請:退職手当(uang pisah)、権利補償手当(uang penggantian hak)、および功労金(uang penghargaan masa kerja)の計算方法や最低額が不明確であり、労働者が不当に少ない補償を受ける可能性がある。
判決:補償金額および支払い条件に最低基準を設け、雇用者が法定最低額を超える退職金を支払う必要がある。
【言語法に関するQ&A】
Q1:インドネシア語で契約書を作成しなければならないでしょうか。
A1:インドネシア語での文書を作成する必要があります。外国語文書が必要な場合は、インドネシア語と外国言語の契約書の両方をインドネシア語文書に即して翻訳しなければなりません。
Q2:インドネシア語と外国語での契約文書ではどちらが優先されますか。
A2:インドネシア語の文書が基本的には優先されます。ただし、文書の中で、当事者間で合意した上で両言語の文書が同等である旨を記載することも可能です。
【ハラル認証に関するQ&A】
Q1:ハラル製品は認証を取得する必要がありますか。
A1:分野に応じてハラル製品の認証取得が義務づけられています。認証義務がある製品には、食品、飲料、医薬品、化粧品、化学製品、生物学的製品、遺伝子組換製品、着用・使用・利用される消費財に関する商品及びサービスを指します。
Q2:2021年の法令の下でのハラル認証義務の対応期限はいつですか。
A2:2021年政令第39号141条では以下のとおり、対応期限が定められています。
Q3:ハラル認証の実施機関はどこですか。
A3:インドネシアにおいて、ハラル認証を実施する機関 は、宗教省直下に設置された「ハラ ル製品保証実施機関」( BPJPH)です。従前は、民間団体であった「インドネシア・ウ ラ マ評議会」( MUI)がハラル認証の発行権限を有していましたが、 2019 年にその権限が BPJPH に移管されました。 また、 BPJPH がハラル認証を行う前提 として、 BPJPH から「ハラル検査機関」( LPH) が実施する審査や、 MUI が実施するハラルファトワによる審理といった手続を経る必要が あるため、上記の 3 つの機関が、相互に連携しながら、ハラル認証事務を実施しています。
【個人情報保護法に関するQ&A】
Q1. 個人情報保護法における個人情報(個人データ)とは何を指しますか。
A1:個人情報保護法上、個人情報を一般個人情報と特定個人情報の2つに分けて規定しています。1)一般個人情報とは、氏名、性別、国籍、宗教、配偶者の有無などです。 一方、2)特定個人情報には、健康情報、生体情報、遺伝情報、犯罪記録、児童情報、個人財務情報、その他適用される法律に基づくデータが含まれます。
Q2. 個人情報保護法上における、データ管理者、データ処理者とは何ですか。
A2:個人データを取り扱う主体をデータ管理者とデータ処理者に区分しています。
データ管理者とは、個人データの処理に関する目的を決定し、管理権を行使する個人、公的機関、国際機関等を指します。データ管理者の義務として、(a)個人データ主体からの同意を証明すること、(b)すべての個人データ処理活動を記録すること、(c)個人データの安全性を保護・確保すること、(d)個人データ処理の合法性、目的、妥当性を伝えることなどが規定されています。 一方、データ処理者は管理者に代わって個人データ処理において自ら又は共同して行動する全ての個人・企業、公的機関及び国際機関が該当します。処理者は、管理者の指示に基づいて個人データを処理しなければならず、他の処理者に処理を委託する場合、管理者から書面による承諾を受けなければならない等の義務が規定されています。
Q3. データ保護責任者(DPO)は必ず任命しなければなりませんか。
A3:DPO を選任しなければならない状況は主に、① 公共事業のために個人データ処理を行う場合 ② データ処理の過程において、大量のデータに対する構造的かつ体系的な監視が必要な場合 ③ データ処理の中核的活動が、大量の特定個人データ及び/又は犯罪行為に関する個人データの処理に関連する場合があります。なお、大量のデータか否かを決定する基準値や定義は規定されていません。DPO の選任の基準について、2023年8月31日付PDP法に関する政令案では、専門性、法律の知識、個人データ保護の実践、職務遂行能力に基づいて任命されるとされています。なお、政令案の基では社内外いずれかから任命してもよい旨が公表されています。
Q4. 個人情報を海外に移転することは可能ですか。
A4データ管理者は、個人情報をインドネシア国外に移転するために、①移転先国がインドネシアと同等以上の個人データ保護水準を有していることを確認すること、②適切かつ拘束力のある個人情報保護が確保されていることを確認すること、③個人データ主体から明確な同意を得ることのいずれかが必要となる。
なお、③に関して、政令案の下では、(a) 移転が反復的でないこと、(b) 移転対象となるデータ主体が少数に限定されていること、(c) 移転が、データ主体の権利や自由を損なわない目的のために必要であること、(d) 個人データ管理者がリスク評価を実施し、適切な保護措置を講じていること、(e) 個人データ管理者が、個人データ保護機関(Lembaga PDP)およびデータ主体に対し、移転の実施と、その移転により得られる正当な利益について通知を行っていることが条件として、規定されている。
Q5. 個人情報保護法に違反した場合、どのような罰則がありますか。
A5:個人情報保護法違反者に対する制裁には、行政制裁と刑事罰の2種類が規定されています。個人情報保護法上では、 (a)書面による警告、(b)個人データ処理活動の一時停止、(c)個人データ の削除または破棄、(d)年間所得または年間収入の最大 2%までの行政罰金、及び/又は(e) 賠償請求、(f)事業許可の取り消し、(g)会社の解散 という形で行政制裁を規定しています。 一方、刑事罰に関して、禁止行為を行った個人または 法人に対して最高40億から60億ルピアの罰金および最高4年から6年の禁固刑、犯罪行為によって得た利益及び/又は資産の没収、賠償金の支払いが規定されています。
Q6. 個人情報保護法のデータ保護責任者に関する憲法裁判所判決とはどのような内容ですか。
A6. インドネシアの憲法裁判所は、個人情報保護法(以下「PDP 法」といいます。)に関する新たな判決 (2025 年 7 月16日付判決第151/PUU-XXII/2024 号(以下「本判決」といいます。))を下しました。 本判決では、PDP法におけるデータ保護責任者(以下、「DPO」といいます。)の任命要件に関する条文の解釈について、明確にしています。
Q7. 本判決の前後で何が変わりますか。
A7. 本判決の前では、個人情報保護法第53条においてDPOの選任の基準について、① 公共事業のために個人データ処理を行う場合 、② データ処理の過程において、大量のデータに対する構造的かつ体系的な監視が必要な場合、 ③ データ処理の中核的活動が、大量の特定個人データ(健康に関する情報、生体情報、遺伝子情報、子どもに関する情報、個人の財産に関する情報等の本人に重大な影響を及ぼし得る情報)及び/又は犯罪行為に関する個人データの処理に関連する場合(PDP法53条)と規定されていますが、①~③の項目は、“and(および)”により、接続されていることから、PDP法上の文言上からは、すべての要件を満たす場合に、DPO 選任義務があると解釈されていました。
しかし、インドネシア憲法裁判所は①~③の条件について、3要件のうち、一つを満たせば、DPO選任義務があることを明確にしました(判決番号151/PUU-XXII/2024)。そのうえで、条文中の“and(および)”は、“and/or(および/または)”と解釈される限りにおいて、合憲であると判断しました。本判決により、DPO 選任義務の対象範囲は拡大され、①~③のいずれかの条件に該当する場合には、DPOを任命する必要があります。
【担保法制に関するQ&A】
Q1. 担保設定が可能な権利には何がありますか。
A1:インドネシアでは、担保の目的となる権利は、主に担保物権として法令上認められている権利に限られます。代表的なものには、①質権(Gadai)、②信託担保権(Fidusia)、抵当権(Hak Tanggungan)などがあります。
Q2. 質権(Gadai)とは何ですか。
A2:質権とは債務の担保として、動産を債権者に引き渡すことによって成立する担保物権のことをいい、担保の対象である質物の引き渡しが担保成立の要件とされています。質物について質権を有する質権者は、債務が履行されない場合には、当該質物から他の債権者に優先して弁済を受ける権利を有します。質権の設定は、契約書の締結が必須であり、質物が有形動産や無記名債権である場合、質物を、債権者自身が占有するか、または債権者の指定する第三者に引き渡すことによって成立します。
Q3. 信託担保権(Fidusia)とは何ですか。
A3:信託担保権とは、担保権者と担保権設定者との間の信任に基づき、担保権設定者が担保権者に担保目的物の所有権を譲渡しつつ、担保権設定者が引き続き当該目的物を占有し、従前どおりの利用を続けることができる担保権であり、有形・無形の動産および抵当権設定の対象とならない不動産が対象となります。
信託担保の設定には公証人の面前での信託担保権設定証書の作成および登記所での登記が必要です。また、既存および将来の資産を担保目的物として設定することが可能であり、複数の信託担保権者のために同時に設定することや、金融機関のエージェントや受託者など、信託担保権者を代表する代理人または受任者を担保権者として設定することも認められています
Q4. 抵当権(Hak Tanggungan)とは何ですか。
A4:抵当権とは、土地に関する権利およびその土地に付随する物に設定される担保権であり、特定の債務の弁済を担保するために設定され、他の債権者に優先して弁済を受ける地位を債権者に与えることができます。一般に、不動産上の権利を担保にとる場合には、当該抵当権が利用されます。抵当権は、抵当権者と設定者との間で抵当権を設定する旨の合意がなされ、かかる合意に基づき、土地公証人(PPHT)によって抵当権設定証書(APHT)が作成されることにより設定されます。その後、抵当権設定証書に基づき登記簿に登記されることにより、抵当権の効力が生じます。
【海外からの借入れに関するQ&A】
Q1:インドネシアの企業から海外から借入れを行う場合、どのような規制がありますか。
A1:➀四半期末から3か月以内および6カ月以内に期限が到来する外貨建ての負債に対して、それぞれ25%以上の外貨建て資産を保有していること、②流動性比率に関して、四半期末から3か月以内に期限が到来する外貨建ての負債に対して、70%以上の外貨建て資産を保有すること、さらに、③海外もしくは国内における格付け機関(Lembaga Pemeringkat)によって認定された、最低「BB」に相当する信用格付け(Peringkat Utang)を有していることが義務付けられています。③の信用格付けについては、債務残高の総額が増加しない、またはその増加が一定の限度内であるリファイナンスの場合や一定の要件を満たすインフラプロジェクトの資金調達の場合には、適用除外されます。
Q2:海外からの借入れに関して、どのような報告義務がありますか。
A2:Q1での、3つの基準を満たしていることに関して、四半期ごとに、インドネシア中央銀行に報告する義務があり、遵守状況について、インドネシア中央銀行は監視および調査を実施する権限を有しています。報告はオンラインシステムを通じて行います。
【インドネシアM&Aに関するQ&A】
Q1. インドネシアにおけるM&Aの法的形態にはどのようなものがありますか。
A1:インドネシア会社法において、M&Aの法的形態として、株式譲渡(Share Transfer)、合併(Penggabungan)、分割(Pemisahan)などが規定されています。
Q2. 会社の支配権は、どのような方法で取得することができますか。
A2:会社法において支配権の取得は、① 対象会社の取締役会を通じて行う方法、または② 既存株主から発行済株式、もしくは新規に発行される株式を取得する方法により行うことができるとされています。
Q3. 対象会社の取締役会を通じて買収を行う場合、買収者にはどのような義務がありますか。
A3:対象会社の取締役会を通じて支配権取得を行う場合、買収者は、支配権取得を行う意図について、対象会社の取締役会に対して事前に通知しなければならないとされています。この通知を受けた上で、対象会社および買収者の取締役会は、コミサリス会の承認を得て買収計画を作成する必要があります。
Q4. 買収計画は、どのように公表・通知する必要がありますか。
A4:対象会社の取締役会は、買収に関する株主総会決議の30日前までに、買収の要旨を1紙以上の日刊全国紙で公表し、従業員に対して書面で通知しなければなりません。
Q5. 買収に対して債権者が異議を申し立てることはできますか。
A5:買収に異議のある債権者は、買収計画の公表日から14日以内に異議を申し立てることができます。この期間内に異議申立てがなされなかった場合、債権者は当該買収に同意したものとみなされます。
Q6. 買収について債権者から異議が出た場合、買収手続きはどのように進められますか。
A6:異議が申し立てられた場合、対象会社の取締役会はその解決を図らなければなりません。株主総会開催日までに異議が解決されない場合には、その内容を株主総会に報告する必要があります。さらに、株主総会においても解決できない場合、当該買収行為は実施することができません。
Q7. 買収を実施するための株主総会決議には、どのような要件がありますか。
A7:買収計画は、買収者および対象会社の取締役会から株主総会に提出され、承認決議を得る必要があります。当該決議は、議決権のある全株式の4分の3以上を保有する株主が出席し、出席株主が行使した議決権の4分の3以上の賛成により可決されます。
Q8. 株主総会の定足数を満たせない場合、どのような対応が可能ですか。
A8:第1回株主総会で定足数を満たせない場合には、第2回株主総会を開催することが可能です。第2回株主総会では、議決権のある全株式の3分の2以上を保有する株主が出席し、出席株主が行使した議決権の4分の3以上の賛成により、買収計画が承認されます。
Q9. 買収に反対する株主には、どのような権利が認められていますか。
A9:株主は株式買収請求権を有しており、買収が会社または株主に損害を及ぼすとして反対する株主は、会社に対して自己の株式を合理的な価格で買い取るよう請求する権利を有します。
【インドネシアにおける電子取引に関するQ&A】
Q1. インドネシアにおける電子取引とは何を指しますか。
A1:インドネシアでは、電子情報・電子取引法において、電子取引は、電子システムを通じて行われる法的行為と位置付けられています。契約の締結、通知、支払、承認などが電子的に行われる取引などが含まれます。
Q2. 電子契約は書面契約と同じ法的効果を持ちますか。
A2:電子情報・電子取引法に基づき、原則として、電子契約は書面契約と同じ法的効果を持ちます。ただし、法令により書面での作成が義務付けられている文書、公証人による作成が義務付けられている文書およびその添付書類は、電子形式が認められていません。
Q3. 電子署名はインドネシアでは有効ですか。
A3:電子署名は一定の要件を満たす場合に、有効です。電子情報・電子取引法において、a )電子署名の作成データが、当該署名者のみに結び付いていること、b)署名時に、署名者本人だけが電子署名を管理できる状態にあること、c) 署名後に生じたすべての変更を検知できる仕組みが存在すること、d) 当該電子署名に関連する電子情報について、署名後に生じたすべての変更を検知できる仕組みがあること、e) 署名者が誰であるかを特定できる手段が存在すること、f) 署名者が、当該電子署名に関連する電子情報に対して同意を与えたことを示す手段が存在する場合に、電子証明は法的効力を有します。
【インドネシアにおけるフランチャイズに関する要件】
Q1.フランチャイズ事業として認められるためには、どのような事業要件を満たす必要がありますか。
A1:フランチャイズ事業を行うためには、一定の事業要件を満たすことが求められます。具体的には、法令上、事業要件は大きく4つの区分に整理されており、①ビジネスシステムに関する要件、②事業の収益性に関する要件、③知的財産権の保有に関する要件、④フランチャイジーに対する継続的サポートに関する要件を満たす必要があります。
Q2. ビジネスシステムに関する要件には、どのような内容が含まれますか。
A2:Q1でのビジネスシステムに関する要件として、フランチャイザーは、フランチャイズ事業を円滑に運営するための具体的かつ体系的な業務手順を整備している必要があります。これには、人材管理、管理業務、運営管理、標準的な業務方法、事業拠点の選定およびデザイン、従業員の要件、マーケティング戦略などが含まれ、フランチャイジーが同一水準のサービスや商品提供を行える体制が求められます。
Q3.フランチャイズ事業における収益性の要件とはどのようなものですか。
A3:フランチャイザーは、一定期間にわたり事業を継続し、収益性のある事業を営んできた実績を有していることが求められます。具体的には、少なくとも過去3年間にわたり事業を継続し、その期間を通じて収益性を確保していることが、事業の安定性およびフランチャイズ展開の前提条件とされています。
Q4.知的財産権に関して、フランチャイザーにはどのような要件がありますか。
A4:フランチャイザーは、フランチャイズ事業の中核となる商標やその他の知的財産権を、正式に登録した上で保有している必要があります。知的財産権が登録手続中であるだけでは足りず、登録が完了していることが求められます。
Q5.フランチャイザーは、フランチャイジーに対してどのようなサポートを提供する必要がありますか。
A5:フランチャイザーは、フランチャイジーに対して継続的なサポートを提供する義務があります。この継続サポートには、人材トレーニング、運営管理に関する指導、プロモーション活動、製品に関する調査、市場開発などが含まれます。
Q6.フランチャイズ目論見書とは何で、どのような手続が必要ですか。
A6:フランチャイズ目論見書とは、フランチャイズ事業の内容や条件について、フランチャイジーに対して事前に開示するための書面です。フランチャイザーは、フランチャイズ契約締結日の少なくとも14日前までに、この目論見書をフランチャイジーに提供しなければなりません。また、当該目論見書は、電子的な事業許認可システム(OSS)に登録した上で、フランチャイズ契約締結前にフランチャイズ登録証(STPW)を取得する必要があります。
Q7.フランチャイズ目論見書には、どのような情報を記載する必要がありますか。
A7:フランチャイズ目論見書には、フランチャイザーの組織体制や事業の合法性、フランチャイザーおよびフランチャイジーの権利義務に関する事項に加え、フランチャイズ事業に関連する知的財産権が登録されていることを示す証明書の情報を記載する必要があります。
Q8.外国法人がフランチャイザーとなる場合、STPW取得にあたって特別な要件はありますか。
A8:外国法人がフランチャイザーとしてSTPWを取得する場合には、フランチャイズ目論見書をOSSに登録する際の添付資料として、本国における事業許可証および事業継続性を証明する書類を提出する必要があります。
Q9.フランチャイズ規制に違反した場合、どのような制裁が科されますか。
A9:規制に違反した場合には、段階的な行政制裁が科されます。まず警告書が発行され、警告書の有効期間は14営業日とされています。3回目の警告書発行後、14営業日以内に義務が履行されない場合には、一時的な事業活動停止が命じられます。さらに、事業活動停止期間を経ても義務が履行されない場合には、STPWが取り消されます。STPWの取消処分を受けた事業者は、取消決定日から5年間、新たにSTPWを申請することができません。
【最高裁判決に関するQ&A】
Q1. 2023年における就業契約における競業避止義務に関する最高裁判決はどのような内容ですか。
A1. 2023年11月23日付最高裁判決第3549 K/Pdt/2023号において、最高裁は、雇用契約に定められた競業避止義務および営業秘密保持条項について、その内容が合理的かつ限定的である場合には有効となり得ると判断しました。また、退職後直ちに競合他社に関与した行為について、債務不履行に該当すると認定し、使用者保護の姿勢を明確に示しています。本判決では、当該従業員に対し多額の損害賠償の支払義務を認めるとともに、競合他社との協力関係を制限する判断が示されました。
Q2. 最高裁判決第3549 K/Pdt/2023号の判決により、どのような行為が可能となりますか。
A2. 本判決により、雇用契約に定められた競業避止義務や営業秘密保持条項は、内容が合理的かつ限定的である限り、有効に執行され得ることが最高裁レベルで明確になりました。これまで競業避止義務は労働者の職業選択の自由との関係で執行が困難と考えられていましたが、本判決は、営業秘密の保護を目的とする場合には民法上の債務不履行として使用者側の請求が認められる可能性を示しています。雇用契約書や就業規則において、競業避止の対象範囲、期間、目的を明確に定めることで、退職後のリスク管理を強化できる重要な指針となります。

