【インドネシア進出方法に関するQ&A】
Q1. インドネシアで事業を行う場合、どのような形態がありますか?
A1: インドネシアに進出する際の形態としては、原則として、以下の4つのいずれかとなります。(支店の形態も存在しますが、外国企業については銀行業等の業種に限られます。)
(1)現地法人(株式会社 PT : Perseroan Terbatas)
(2)外国駐在員事務所(KPPA:Kantor Perwakilan Perusahaan Asing)
(3)外国商事駐在員事務所(KP3A:Kantor Perwakilan Perusahaan Perdagangan Asing)
(4)外国建設駐在員事務所(BUJKA:Kantor Perwakilan Badan Usaha Jasa Konstruksi Asing)
現地法人は、外国企業の出資により設立された場合には、外資法人(PMA : Penanaman Model Asing)と呼ばれます。
Q2. 外国駐在員事務所の特徴は何ですか?
A2: 外国駐在員事務所の機能は以下に限定されます。
(1)親会社の企業利益の管理
(2)インドネシアで事業を設立し、開発する準備
外国駐在員事務所は、インドネシア国内の州都(ジャカルタ、バンドン、ジョグジャカルタ、 カリマンタンなど)でのみ設立できますが、オフィスビルまたはタワー内で開設する必要があります。代表執行役が外国人の場合は、インドネシアに滞在し、働くための一時滞在許可証(KITAS)と労働許可が必要です。
Q3. 外国商事駐在員事務所の特徴は何ですか?
A3: 外国商事駐在員事務所の機能は以下に限定されます。
(1)インドネシアの企業やユーザーに対し、親会社の製品の紹介とプロモーション、宣伝ならびに情報または使用法および輸入方法を提供
(2)親会社の製品をインドネシア国内で販売するための市場調査の実施と調査
(3)海外の親会社が必要とする品物の市場調査およびインドネシアの会社への輸出条件に関する情報提供
(4)親会社が輸出目的で指名したインドネシア国内の会社を代表して契約を締結する
外国商事駐在員事務所は、入札や契約署名、請求の決済など、貿易活動や販売取引を行うことは禁じられます。
インドネシア国内の州都および県・市都に設立できますが、オフィスビルまたはタワー内で開設する必要があります。
代表執行役が外国人の場合は、インドネシアに滞在し、働くための一時滞在許可証(KITAS)と労働許可が必要です。
Q4. 外国商事駐在員事務所の特徴は何ですか?
A4: 大臣規定に基づき大規模事業者に分類される外国の建設会社が外国商事駐在員事務所の認可を得ることができます。インドネシア領域内で建設サービス活動を行うことができます。
Q5. インドネシアの公開会社と非公開会社の違いは何ですか?
A5: 公開会社(PT Tbk)には、①Perseroan Publikと②Emitenの2種類があります。①Perseroan Publikは株主数300人以上、払込資本金30億ルピア以上の要件を満たす株式会社を指します。②Emitenは、資本市場に関する法令に従い、株式の公募を行う株式会社を指します。非公開会社(PT Tertutup)は、会社法上定義がなく、株式会社のうち公開会社でないものはすべて非公開会社に当たります。
Q6. 会社設立時の申請書においてどのような事項を記載する必要がありますか?
A6:申請書には以下の事項を記載する必要があります。
(1) 申請する会社の名称および所在地
(2) 申請する会社の有効期限(なしとすることも可能)
(3) 申請する会社の目的および事業内容
(4) 授権資本金および払込資本金の額
(5) 申請する会社の正式な住所
Q7.インドネシアにおいて種類株を発行することは可能ですか?
A7: 会社は株式ごとに異なる権利が付与された異なる種類の株式を発行することができます。
Q8. インドネシアで会社を設立する際の最低資本金はいくらですか?
A8 : 2025年10月以前は100億ルピアの最低払込資本金が必要でしたが、新たに施行されたBKPM規則2021年第5号により、外資系企業は、最低払込資本金が25億ルピアに減額されました。この最低払込資本金要件は会社設立時に満たす必要があります。なお、払込時点から12カ月間、会社の銀行口座から移動してはいけません。ただし、資産の購入、建物の建設および/又は、事業運営のための支出に用いる場合はこの限りではありません。
Q9. 外資企業が必要な最低投資金額はいくら必要ですか?
A9:最低投資金額は、100億ルピアが必要です。また、複数拠点をもつ事業の場合、1事業ロケーションごとに100億ルピアの投資が必要です。ただし、飲食業の場合には、県(Kebupatan)、または市(Kota)単位での投資が必要であり、同県・市内であれば、複数の店舗等を営むことが可能です。また、電気自動車充電ステーション事業においても、投資額が州(Probinsi)単位で計算され、同州内であれば複数拠点での事業運営が可能です。
さらに、100億ルピアの投資額は、土地建物を除いた金額で計算することが通例ですが、a)不動産業、b)宿泊施設、c)プランテーション、e) 畜産、f) 養殖に関する事業においては、土地、建物を投資額の判定に含めることが可能です。
Q10. 最低投資金額について報告する必要がありますか?
A10:最低投資金額は事業許可の監督のため、事業者が投資活動の進捗・実績を報告する義務が規定されており、LKPM(Laporan Kegiatan Penanaman Modal)と呼ばれる投資活動報告を行う必要があります。中小企業では半年ごと、外資系企業のような大規模企業は四半期ごとの提出が必要です。なお、2025年10月に施行されたBKPM規則2021年第5号において、それまでは免除されていた石油ガス上流部門、銀行、保険業における事業者にも報告義務が課されています。報告においては、投資実現額、雇用者数、生産、販売実績、輸入における免税優遇を受けた機械・資材などの投資金額、産業分類別、所在地別の投資額についても報告が必要です。
【インドネシアの会社法に関するQ&A】
Q1:株主は何名必要ですか?
A1: 2名以上の株主が必要です。会社設立後に、株主が1名になった場合には、6か月以内にその状態を是正しなければなりません。
Q2:減資手続きは難しいですか?
A2:減資を行うには、株主総会における特別決議が必要です。
株主総会で減資決議がなされた場合、取締役会は決議の日から7日以内に1紙以上の新聞に公告する方法で減資に係る決議がなされた旨を債権者に通知する必要があります。債権者は、当該公告から60日以内に、減資に対する異議を理由とともに会社に対して書面で通知することができ、その場合、法務人権省に対してその写しを送付することが必要です。会社は当該書面による異議申立てから30日以内に、当該通知に対して書面で回答する必要があります。そして、債権者は①当該回答の中で会社が債権者の異議申し立てを拒絶した場合、もしくは当該回答から30日以内に債権者が合意できる解決案を提示しなかった場合、または②債権者から異議申立てを受けてから60日以内に会社が回答しなかった場合に、管轄の地方裁判所に対して、訴えを提起することができます。
Q3:取締役は何名必要ですか?
A3:非公開会社においては、取締役は1名以上必要であるとされています。一方で、公開会社(Perseroan Terbuka)では公衆からの資金の調達または運用に関する事業を行う会社および公衆に対して社債を発行する場合には、2名以上の取締役を選任する必要があります。
Q4:定款を作成する必要がありますか?
A4:定款は、会社設立申請のために法務人権省へ提出する設立証書の記載事項となっているため作成する必要があります。
Q5:株主総会を定期的に開催する必要がありますか?
A5:年次株主総会は、会計年度終了後6か月以内に開催しなければならないとされています。その他、臨時株主総会は、会社の利益のために必要とみなされるときにいつでも開催することができます。
株主総会の招集の際には、取締役会が原則として株主総会の開催日と通知日を含まないで、14日前までに、書留郵便および/または新聞への公告掲載により通知する方法により行われます。ただし、議決権付株式を保有する全ての株主が株主総会に出席し、議案が全員一致で承認された場合には招集通知を省略し、有効に決議を行うことが可能です。公開会社の場合の招集には開催日の21日前までに行う必要があります。
Q6:定款に記載が必須の事項には何がありますか。
A6:インドネシアにおける定款への必須記載事項は、会社法2007年第40号(以下「会社法」といいます)に規定されており、以下の内容を記載する必要があります(会社法第15条第1項)。
- 会社の名称および住所
- 会社の事業目的および事業内容
- 会社の設立期間
- 授権資本、発行済資本、および払込資本の額
- 株式数、株式の種類(存在する場合)、各種類ごとの株式数、各株式に付随する権利、および各株式の額面価額
- 取締役および監査役の役職名、およびその構成員の人数
- 株主総会の開催場所および開催方法
- 取締役および監査役の任命、交代、解任の手続
- 利益の使途および配当の分配手続
上記の規定に加えて、定款には他の法律に抵触しない限り、その他の規定を含めることが可能です(会社法第15条第2項)。また、固定利息の受領に関する規定と、設立者や会社の関係者など、特定の者に対して、個人的利益を供与する内容の規定を設けることは禁止されています(会社法第15条第3項)。
Q7:定款変更の手続きはどのように行われますか。
A7:定款変更のための株主総会は、議決権を有する全株式のうち少なくとも3分の2が出席または代理出席した場合に開催することができ、決議は、出席して行使された議決権の少なくとも3分の2の賛成により有効となります。ただし、定款においてより別途、定足数または決議要件が定められている場合はこの限りではありません。
当該定足数に達しない場合には、第2回株主総会を開催することができます。第2回株主総会は、議決権を有する全株式のうち少なくとも5分の3が出席または代理出席した場合に有効に開催され、決議は、出席して行使された議決権の少なくとも3分の2の賛成により有効となります。ただし、定款においてより大きい定足数または決議要件が定められている場合はこの限りではありません。
第2回株主総会の定足数にも達しない場合、会社は、その所在地を管轄する地方裁判所の長に対し、第3回株主総会の定足数を定めるよう申請することができます。第3回株主総会の招集においては、第2回株主総会が開催されたものの定足数に達しなかった旨、ならびに地方裁判所長により定められた定足数に基づいて第3回株主総会を開催する旨を明記しなければなりません。第2回および第3回株主総会の招集は、それぞれの株主総会開催日の少なくとも7日前までに行わなければならず、前回の株主総会開催日から少なくとも10日後、かつ最長21日以内に開催しなければなりません。また、変更した定款は株主総会決議日から30日以内に、公正証書化しなければならず、法務人権省への届け出および承認が必要です。
Q8:定款変更において、どのような項目において承認が必要ですか?
A8:定款変更において、以下の特定の定款変更の場合には、法務人権省からの承認が必要です。
- 会社名および/または会社の本店所在地
- 会社の目的および事業活動
- 会社の存続期間
- 授権資本金の額
- 発行済資本および払込資本の減少
- 非公開会社から公開会社への変更、またはその逆
上記以外の項目の場合には、法務人権省への届け出のみで足りるとされています。承認および届け出は、公証人を通じて、オンライン(AHU Online)上で申請が行われます。
Q9:株主総会を定期的に開催する必要がありますか?
A9:年次株主総会は、会計年度終了後6か月以内に開催しなければならないとされています。その他、臨時株主総会は、会社の利益のために必要とみなされるときにいつでも開催することができます。
株主総会の招集の際には、取締役会が原則として株主総会の開催日と通知日を含まないで、14日前までに、書留郵便および/または新聞への公告掲載により通知する方法により行われます。ただし、議決権付株式を保有する全ての株主が株主総会に出席し、議案が全員一致で承認された場合には招集通知を省略し、有効に決議を行うことが可能です。公開会社の場合の招集には開催日の21日前までに行う必要があります。
Q10 インドネシアにおいて監査役を選任する必要はありますか?
A10: 1名以上選任する必要があります。日本における監査役にあたる機関は、インドネシアではコミサリスと呼ばれます。コミサリスは、日本の監査役とは異なり、取締役の権限を一時的に制限することができるなど強力な権限を有していることが特徴です。
Q11:取締役の報酬は自由に決めて良いのですか?
A11:原則として、株主総会の普通決議により決定されます。ただし、コミサリスに権限が委譲された場合にはコミサリスにより決定されます。
Q12:取締役の責任は何ですか。
A12:会社法では、取締役は会社の目的および目標達成のため、会社の利益のために会社を経営する義務を負い、会社経営において誠意をもって行動しなければならないとされており、取締役は会社に対し忠実義務を負っていると解されています。
また、取締役会は、株主名簿、特別株主名簿、株主総会議事録および取締役会議事録ならびに年次報告書その他財務諸表を作成し、本店所在地に保管する義務があります。また、取締役が会社と利益相反する行為は禁止されており、会社と取締役が利益相反の関係にある場合は、取締役は会社を代表することはできません
Q13:取締役と会社が利益相反の関係にある場合には、誰が会社を代表しますか。
A13:会社法上、取締役が会社と利益相反する行為は禁止されています。会社と取締役が利益相反の関係にある場合は、取締役は会社を代表することはできず、この場合、a)会社との間で利益相反の関係にない他の取締役、b)全取締役が会社との間で利益相反の関係にある場合にはコミサリス会、または、c) 全取締役およびコミサリス会が会社との間で利益相反の関係にある場合には株主総会が指定した第三者が会社を代表することになります。
Q14:どのような場合に取締役の個人責任が追及されますか。
A14:取締役は、義務遂行における過失または故意により会社に損害が生じた場合には、当該損害について完全かつ個人的に責任を負うこととされており、取締役が2名以上で構成される場合には、連帯責任を負います。ただし、a) 損害が当該取締役の故意または過失によるものではないこと、b)会社の目的達成のために誠実かつ注意義務を尽くして経営を行ったこと、c)当該損害発生につながる経営判断について、直接・間接を問わず利益相反が存在しなかったことが証明される場合には、取締役は責任を負いません。
Q15:取締役の解任手続きはどのように行われますか。
A15:通常、取締役解任は株主総会を通じて行われます。第1回株主総会では、議決権を有する全株式のうち過半数(1/2超)が出席または代理出席した場合に開催することができます。ただし、法律および/または定款において、より大きい定足数が定められている場合はこの限りではありません。第1回株主総会で、定足数を満たさなかった場合、第2回株主総会を開催することができます。第2回株主総会は、議決権を有する全株式のうち少なくとも3分の1が出席または代理出席した場合に有効に開催され、決議を行うことができます。ただし、定款においてより大きい定足数が定められている場合はこの限りではない。
第2回株主総会も定足数にも達しない場合、会社は、その所在地を管轄する地方裁判所の長に対し、第3回株主総会の定足数を定めるよう申請することにより、第3回株主総会を開催することができます。第3回株主総会の招集においては、第2回株主総会が開催されたものの定足数に達しなかった旨、および、地方裁判所長により定められた定足数に基づいて第3回株主総会を開催する旨を明記しなければならず、地方裁判所長による定足数の決定は、最終的かつ確定的な法的効力を有します。第2回および第3回株主総会の招集は、それぞれの株主総会開催日の少なくとも7日前までに行わなければならず、前回の株主総会開催日から少なくとも10日後、かつ最長21日以内に開催しなければなりません。
Q16:配当金に関する規制にはどのようなものがありますか。
A16:インドネシアにおける配当金について、株式会社は、各会計年度の純利益の一部を準備金として積み立てる義務があり、資本金額の20%を超えるまで積み立てる必要があります。純利益の配当は、定款で別段の定めがない限り、及び/又は、株主総会における配当額などに関する普通決議がない限り、準備金控除後の純利益を株主に配当金として支払わなければなりません(2007年第40号(以下、「会社法」といいます。)70条、71条)。株主が受け取る配当金の金額は、保有する株式の割合に比例し、会社が利益残高を有する場合にのみ配当が可能です。なお、5年以上、未払いとなっている配当金は特別準備金(cadangan khusus)として保管され、10年間未払いのままである場合、それらの配当金は会社の収益の一部として引き継がれます(会社法73条)。
インドネシアでは、中間配当の支払いも可能ですが、会社の定款に定める必要があります。また、中間配当は監査役会での承認を得た後、取締役会決議に基づき決定され、①会社の純資産額が発行済みおよび払込済みの資本金と準備金を下回らない場合、②債権者への義務や会社の活動の妨げにならない場合に限り配当が可能です。なお、会計年度の終了後に、会社が損失を被った場合、すでに分配された中間配当は、株主によって会社に返還されなければならない義務があり、返還できない場合には、取締役およびコミサリス(監査役)は会社が被った損失に対して連帯責任を負います(会社法72条)。
【インドネシアの労働法に関するQ&A】
Q1. インドネシアの最低賃金額はいくらですか?
A1:インドネシアの最低賃金額は全国一律ではありません。
毎年1月に改定され、地域ごとに最低賃金額が定められています。たとえば、2026年のジャカルタ首都特別州では、5.729.876ルピア、ブカシ県5.938.885ルピア、ブカシ市5.999.443ルピア、カラワン県5.886.853ルピア、デポック市5.522.662、ボゴール市5.437.203ルピアです。
Q2. インドネシアで雇用契約書の締結は必須ですか?
A2: 会社が労働者を直接雇用する場合には、雇用契約はすべて書面にする必要があります。雇用契約に関わらず、インドネシアでは、インドネシアの法人、政府当局または国民との間で契約を締結する場合には、インドネシア語による記載が義務付けられておりますので注意が必要です。
Q3. 雇用契約書に記載する必要がある事項は何ですか?
A3: 以下が必須記載事項です。
①会社の名称、所在地及び業種、②労働者の氏名、性別、年齢及び住所、③職業又は職種、④勤務地、⑤賃金及び支払方法、⑥会社及び労働者の権利及び義務を記載した職務要件、⑦労働契約の効力発生日及び有効期間、⑧労働契約書が作成された場所及び日付、⑨契約当事者の署名
Q4.インドネシアにおいて試用期間の規制はありますか?
A4: 無期雇用の労働者に対してのみ、個別の雇用契約に明記していれば、最長3か月間の使用期間を設けることができます。
Q5.インドネシアの労働時間の規制は日本と同じですか?
A5: 週6日の場合には、1日7時間以下、週40時間以下です。週5日の場合には、1日8時間以下、週40時間以下です。時間外労働については、労働者から合意を得たうえで、1日3時間、週14時間まで可能です。
Q6. インドネシアの休憩時間の規制はありますか?
A6: 連続4時間の労働に対して30分以上の休憩を付与する必要があります。
Q7. インドネシアの時間外労働手当の割増率はいくらですか?
A7: 平日は、最初の1時間は時給(1か月分の固定給×1/173で計算)の1.5倍、その後の時間は時給の2倍を支払う必要があります。
休日は、週6日勤務(祝日)の場合は、5時間目までは時給の2倍、6時間目は3倍、7、8時間目は4倍です。週6日勤務(祝日以外)の場合は、7時間目までは時給の2倍、8時間目は3倍、9、10時間目は4倍です。週5日勤務の場合は、8時間目までは時給の2倍、9時間目は3倍、10時間目は4倍です。
Q8. インドネシアの有給休暇は何日ですか?
A8: 勤続1 年以上の労働者は、有給休暇を取得する権利が法律上保障されています。労働者が継続して1年勤務した場合には、最低12日間の有給休暇を付与しなければなりません。また、就業規則等に長期休暇の制度を定めている場合には、勤続期間が継続して6年間に達した場合には、勤続7年目と8年目に各1か月以上の長期休暇を付与することができます。
Q9. インドネシアでは、どのような場合に解雇が認められていますか?
A9:以下の場合には、解雇を行うことができます。
・会社が合併、分割、支配権移転等を行い、労働者または雇用者が雇用の継続を望まない場合
・会社が損失を被っていることを理由に整理解雇を行う場合
・有期雇用契約における期間の満了
・会社が2年連続で損害を被ったことにより閉鎖する場合
・会社が不可抗力により閉鎖する場合
・会社が支払停止状態となった場合
・会社が破産する場合
・使用者が不当行為等を行ったことを理由に労働者が雇用関係の終了を申し出た場合
・労働裁判所が使用者による不当行為等は存在しない旨の判決を出し、使用者が解雇を決定した場合
・自己都合退職
・労働者が5日以上無断欠勤し、使用者から2回呼び出しを受けた場合
・労働者が雇用契約、就業規則に違反し、既に3回連続で警告を受けた場合
・労働者が犯罪の嫌疑で6か月間拘束され就業できない場合
・長期疾病・業務上の災害により12か月を超えて就労できない場合
・定年退職
・労働者が死亡した場合
Q10. インドネシアには社会保障制度がありますか?
A10: 労働者は基本的に、BPJS(Badan Penyelenggara Jaminan Sosial)と呼ばれる社会保障制度の対象となります。健康保険、高齢保障、労災保障および年金を取り扱っています。使用者は労働者を同制度に登録する義務を負っており、労災保障以外については、使用者および労働者双方が保険金を負担する必要があります。
Q11. 正社員(無期雇用契約)の退職金はいくらですか?
A.11:退職金は退職理由によって支払うべき金額が変動します。
無期雇用契約での退職金は(1)退職手当(Uang Pesangon)、(2)功労金(Uang Penghargaan Masa Kerja)、(3)権利補償金(Uang Penggantian Hak)、(4)離別金(Uang Pisah)の4つに分類されています。
(1)退職手当は勤続期間が1年未満で固定給の1ヶ月分、2年未満で2ヵ月分、3年未満で3ヶ月分と勤続年数に比例して増えていき、8年以上からは9ヵ月分を支給する必要があります。
(2)功労金は3年以上6年未満で固定給の2ヵ月分、6年以上9年未満で3ヶ月分、9年以上12年未満で4ヵ月分と勤続年数に比例して増えていき、24年以上の場合は10ヶ月分を支給する必要があります。
(3)権利補償金は、勤務期間に受けられるはずだった権利を補償する義務であり、未消化分の有給休暇の買い取りや退職後の採用地までの帰省費用などが含まれます。
(4)離別金は、労働協約、就業規則などで規定する場合に支払いが必要です。
退職理由に応じて、上記で規定される金額に対して支払いの必要性や割合について、以下の通り規定されています。

Q.12 契約社員(有期雇用契約)の退職金はいくらですか?
A.12:会社は、有期雇用契約に基づき雇用される従業員に対し、契約の終了時に補償金を支払う義務を負う。有期雇用契約での従業員が雇用期間を満了した場合に、補償金額は以下のように規定されています。
賃金×勤続月数÷12
賃金は、基本給および固定手当を含んだ金額で計算し、雇用契約が、契約上予定された期間よりも早く業務が完了したことにより終了する場合、補償金は業務が完了した時点までを基準として計算します。また、勤務開始から退職までの期間に、端数となる1ヶ月に満たない日数が生じた場合には、計算上、切り捨てられることが慣例です。
Q13. インドネシアには社会保障制度がありますか?
A13: 労働者は基本的に、BPJS(Badan Penyelenggara Jaminan Sosial)と呼ばれる社会保障制度の対象となり、使用者は労働者を同制度に登録する義務を負っており、労災保障以外については、使用者および労働者双方が保険金を負担する必要があります。BPJSは医療保険と労働者社会保障2つに区分されており、それぞれBPJS KesehatanとBPJS Ketenagakerjaanという機関が運用しています。
BPJS Kesehatanは医療保険制度であり、加入することで、BPJS Kesehatanと協定を提携している医療機関で診察、治療、医薬品の提供などのサービスを受けることができます。一方、BPJS Ketenagakerjaanは労働者社会保障制度であり、①労災補償(JKK:Jaminan Kecelakaan Kerja)、②死亡保障(JKM:Jaminan Kematian)、③老齢保障(JHT:Jaminan Hari Tua)、④年金保障(JP:Jaminan Pensiun)、⑤失業保障(JKP:Jaminan Kehilangan Pekerjaan)の5つで構成され、就労中の事故による疾病や死亡、積み立てた年金、失業後の手当等を受けることができます。
Q14:外国人の加入義務はありますか。
A14:法令上において、6カ月以上、インドネシアで働く現地採用のスタッフや駐在員などの外国人はBPJSの分類のうち、BPJS KesehatanおよびBPJS Keteagakerjaanにおける①労災補償、②死亡保障、③老齢保障の対象となります(社会保障法令第5、14条)。一方、BPJS Ketenagakerjaanにおける④年金保障、⑤失業保障は外国人には登録資格がないため加入できません(失業保障の実施に関する政令2025年第37号第4条)。なお、より具体的な取り扱いについては、BPJSに問い合わせて確認する必要があります。
Q15:日本との社会保障協定はありますか。
A15:2026年3月時点で日本とインドネシアの間に社会保障協定は締結されていません。このため、日本人駐在員の場合、一定期間を超えてインドネシアで就労する際には日本の社会保険料も引き続き納めつつ、インドネシアのBPJSへの加入と納付義務も生じることになります。
Q16:インドネシア派遣労働は可能ですか。
A16:可能です。オムニバス法2020年第11号(以下、「オムニバス法」といいます)、およびその実施規則である政令2021年第35号(以下、「オムニバス政令」といいます)の制定により、それ以前は労働法2003第13号(以下、「労働法」といいます)において、派遣労働が許される業務が派遣先の会社の主要業務(kegiatan utama)とは分離されている必要があり、清掃や警備、運転手など、補助業務(penunjang)とされるものに限定されていました(労働法第65号)。しかし、オムニバス法においては、補助業務に限定されるという条項が削除され、業務内容にかかわらず原則として全業務で派遣労働が可能となり、幅広い領域で派遣労働が活用されています。
Q17:派遣労働を実施するに当たり、要件や義務はありますか。
A17:派遣元の会社と労働者間では雇用契約書の締結が必須です。契約は、有期雇用契約(PKWT)もしくは、無期雇用契約(PKWTT)に基づきます。労働条件等、契約内容に関する紛争の取り扱いは、雇用契約書、就業規則または労働協約に規定されなければならず、その責任は派遣先の会社ではなく、派遣元の会社が負うこととされています(オムニバス政令第18条)。有期雇用契約(PKWT)に基づいて雇用されている派遣労働者については、派遣元の会社は、派遣先での業務が存続する限り、その雇用を継続させる義務を負います。そのため、派遣元会社の買収や派遣先企業の都合等によって、別の派遣元会社に切り替わる場合には、労働者の雇用は、新たに派遣先と契約した派遣元会社において継続されなければなりません。もし雇用の継続が保証されない場合には、当初の派遣元会社が、労働者に対して未払い給与の支払いなど、権利補償を行う義務を負います(オムニバス政令第19条)。
【インドネシアのビザに関するQ&A】
Q1. インドネシアで働く場合、どのようなビザを取得する必要がありますか?
A1: 就労を目的としてインドネシアに来る場合、たとえ短期間でも就労ビザの取得が必要です。
インドネシアでの就労を目的として入国する外国人に対して付与される就労ビザは一般的に、一時滞在就労ビザ e-visa(E23)(旧312)と呼ばれます。
インドネシア現地法人で働くためには、就労許可と滞在ビザがセットで必要です。
まず、労働省宛にNotifikasi(旧IMTA)と呼ばれる就労許可証の申請を行い、承認を得た後、ビザの取得とITAS(旧KITAS)と呼ばれる一時滞在許可証を取得する必要があります。
一時滞在就労ビザの有効期限は一般的に1年間で、延長は最長5年間まで可能です。
そのほかにも以下のようなビザがあり、それぞれ商用目的で短期的な入国は可能です。
1. 一時滞在ビザ e-visa(C2、5、10、17、19、20)(旧211シングルビザ)
2. 一時訪問ビザ(D1、2、17)(旧212マルチプルビザ)
3. 到着ビザ
Q2. 一時滞在就労ビザ(E23)(旧312)の取得要件はありますか?
A2: 原則として、一時滞在就労ビザを取得するためには以下の要件を満たす必要があります。
・大学卒
・就労予定の役職要件に応じた学歴を有していること
・就労予定の役職に従った、少なくとも5年間の就業経験を有すること
・60歳未満であること
Q3. 一時滞在就労ビザの有効期限はありますか?
A3: 通常、12か月間滞在することができます(会社役員は最大24か月)。5回まで延長することができます。ただし、Q2での条件が揃わない場合、半年の一時滞在ビザの取得が可能です。(1年のビザと異なり、更新はできず半年ごとの申請が必要。)
一時滞在ビザ発行後、90日以内に入国する必要があります。
Q4. インドネシアで外国人が就労するために必要な手続きはどのように行うのですか?
A4: まず、外国人を雇用する会社が、①外国人従業員雇用計画書(RPTKA)を、外国人就労手続きのオンラインシステム(TKA Online)を通じて労働移住省に提出します。そして、RPTKAの承認が下りたら通知書が送られてきますので、②外国人労働者雇用補償金(DKP-TKA)の支払いをします(外国人1人につき、就労期間1か月に当たり100ドル)。DKP-TKAの納付をした後、③入国管理総局による一連の審査が行われ、承認されるとe-visaが発行されます。④e-visaが発行されてから90日以内に従業員本人がインドネシアに入国し、一時滞在許可証(ITAS)を取得します。
Q5. 一時滞在就労ビザの申請のための必要書類は何ですか?
A5: 雇用する企業と従業員とで必要書類が異なり、一般的に以下の書類が必要になります。
【企業】
(1) 受け入れ企業代表者または採用担当者の身分証明書
(2) 従業員報告書
(3) インドネシア社会保険(BPJS)加入証明書
(3) 銀行口座明細(直近3ヶ月分)
(4) 会社組織図
(5) 会社登録証明書
(6) 定款認証
(7) 納税者番号
(8) 所在地証明書
(9) 登記簿謄本
(10)雇用契約書
(11)営業許可証
(12)インドネシア人従業員の身分証明書(KTP)
【従業員】
(1)パスポートのコピー
(2)パスポート(18か月以上有効)
(3)健康保険加入証明書
(4)証明写真
(5)英文経歴書
(6)英文卒業証明書
(7)過去の在職証明書
(8)雇用契約書
【インドネシアの不動産法制に関するQ&A】
Q1. 外国会社がインドネシア国内の土地を取得できますか?
A1: 原則として、インドネシア国民個人のみが土地に対する所有権を持つことが認められているため、法人が土地の所有権を取得することはできません。もっとも、事業権、建設権および使用権は外国会社を含むインドネシア法人も取得することが認められています。
Q2. インドネシアの土地の登記はどのような効力を有していますか?
A2. インドネシアの登記制度においては、土地に関する権利は国土庁の管轄下の各地方の土地管理局に登記されなければならないとされています。インドネシア法上、当事者間の土地の権利の移転は、土地譲渡証書の締結により生じると考えられているため、登記によって権利の移転が確定するといった効力はありません。もっとも、第三者に対して土地の権利を主張するためには、土地管理局における登記簿への登録および土地権利証の名義変更手続を完了する必要があると考えられています。
Q3. インドネシアの土地の登記は第三者も閲覧できますか?
A3: インドネシアの土地登記簿は非公開とされているため、第三者は閲覧することができません。したがって、土地を取引する場合には、売主から土地権利証の開示を受ける必要があります。
Q4. インドネシアにおいて土地と建物は別個の権利対象となりますか?
A4. インドネシア法上、土地と建物は別個の不動産として扱われ、個別に権利設定の対象となります。もっとも、建物は区分所有権を除き、単独では登記の対象とはならず、土地の付着物として土地の登記に付記されます。
Q5 : インドネシアでは、インドネシア法上、土地に関する権利にはどのようなものがありますか。
A5 : インドネシア法上、認められている土地の権利は、所有権(Hak Milik)、事業権(Hak Guna-Usaha)、建設権(Hak Guna-Bangunan)、使用権(Hak Pakai)があります。所有権は原則として、インドネシア個人のみが保有することが認められており、外国人および法人(内資、外資を問わない)が所有権を取得することはできません。
Q6: 建設権とはどのような権利ですか。
A6: 建設権とは自らが所有するものではない土地の上に建物を建築・保有する権利であり、当初の有効期間は30年間である。建設権保有者は、建設権が設定された土地を、行って機関、私的または事業上の必要性のため、建設の建築・保有を目的として、支配・使用する権利を有します。
Q7 : 所有権とはどのような権利ですか。
A7 : 所有権は、土地を保有することができる最も強力で完全な権利とされています。土地の所有権は、インドネシア国民のみに限定されており、法人は内国・外国法人問わず、土地の所有権を取得することはできません。なお、二重国籍の者による土地の所有も禁止されています。
Q8 : 事業権とはどのような権利ですか。
A8 : 事業権とは国が直接管理する土地を農業、漁業又は畜産のために土地上で耕作を行う権利であり、インドネシア国民又はインドネシア法に基づき設立され、インドネシア国内に本拠のある法人が保持できる権利です。したがって、外国法人であっても、インドネシア国内に本拠があれば、事業権の保持は可能です。事業権の保持期間は原則25年間(特別の必要がある場合には35年)で、最長でさらに25年間延長することが可能です。第三者に譲渡することが可能であり、また、抵当権(Hak Tanggungan)を付与することもできます。
Q9 : 使用権とはどのような権利ですか。
A9 : 使用権とは、土地を特定の目的のために使用しまたは土地で取れる収穫物を取得する権利であり、その権利行使に関する権限や義務は、土地所有者との契約によって定められます。使用権はインドネシア国民又はインドネシアに居住する外国人、インドネシア法に基づき設立されたインドネシア国内に本拠のある法人、駐在員事務所が保持することが可能です。
Q10 : 外資企業(PT PMA)が清算により事業を終了した場合、その会社が保有する不動産の権利は消滅しますか。
A10: 外資企業(PT PMA)が清算により事業を終了した場合であっても、その保有する不動産に関する権利が直ちに消滅するわけではありません。会社法上、清算手続中においては、当該会社は清算目的の範囲内で引き続き法人格を有し、その資産については清算人により売却または適法に第三者へ移転される必要があります。
もっとも、当該不動産の権利が清算手続中に適切に移転されない場合には、権利者が法的要件を満たさなくなったものとして、当該土地権利が取り消され、国家に帰属する可能性があります。
したがって、不動産の取扱いは、清算手続の中で適切に処理される必要があります。
Q11 : 建設権(Hak Guna Bangunan)の消滅事由は何ですか。
A11: 建設権(Hak Guna Bangunan)は、主に以下の事由により消滅します。
まず、存続期間の満了により当然に消滅します。
また、以下のような一定の事由が生じた場合には、土地局、管理権者、または所有権者による取消しにより消滅することがあります。
・建設権者が法令上の義務に違反した場合
・建設権者と土地所有者または管理権者との契約に違反した場合
・裁判所の決定があった場合
・建設権者が自ら権利を放棄した場合
・建設権者が対象土地を放棄した場合
・土地が物理的に損壊し、利用が不可能となった場合
・公共の利益のために政府により権利が取り消された場合
・建設権を保有できない者がこれを取得し、1年以内に適法に処分しなかった場合
以上のとおり、建設権は期間満了のほか、法令違反や契約違反、権利放棄、公共目的による収用など、複数の事由により消滅し得ます。
【インドネシアの外資規制に関するQ&A】
Q1. インドネシアでは外資はどのような業種を行うことが可能ですか?
A1. インドネシアの外資規制は、投資法および投資分野に関する大統領令により定められています。2020年に、雇用創出オムニバス法が制定されたことに伴い、投資分野に関する大統領令2021年10号が制定されました。これにより、投資禁止業種が従来の20業種から6業種に大幅に削減され、内資と外資の区別も廃止されました。
投資が禁止される分野は、以下のとおりです。
(1)麻薬等栽培製造
(2)賭博・カジノ業
(3)ワシントン条約記載の魚類の捕獲
(4)サンゴの採取や利用、建材・石灰・カルシウム、水族館等
(5)化学兵器産業
(6)工業化学原料とオゾン層破壊原料産業
また、外資規制がある事業分野が定められた、いわゆる条件付き分野の内容についても改定されました。従来350業種あった事業分野が46業種に大幅に削減されています。
その他、中小企業のために留保されている中小企業留保分野が112業種、中小企業との協業が必要な中小企業協業分野が51業種あります。中小企業留保分野については、外資企業は参入できないことになっており、中小企業協業分野は外資企業も参入できますが、現地の劉章企業と協業する必要があります。
Q2. インドネシアでフランチャイズ規制はありますか?
A2: インドネシアではフランチャイズ規制が存在します。内資・外資を問わず、フランチャイザーおよびフランチャイジーは、フランチャイズ登録証明書を取得する必要があります。登録にあたっては、インドネシア語の申請書を作成する必要があり、外国語の文書については正式な翻訳が必要です。また、事業書の提出時点から遡って2年間分の財務諸表または貸借対照表を提出する必要があります。
さらに、国外のフランチャイザーは、所在する国のインドネシア大使館から事業書に対して法的認証を受ける必要があります。
Q3. インドネシアにおいて外国人雇用規制はありますか?
A3: 国内直接投資(DDI)企業については、外国人はコミサリスの職に就くことができません。また、外国人は以下の職に就くことはできません。
・人事役員
・産業関連マネージャー
・人事マネージャー
・人事開発責任者
・人事採用責任者
・人事配置責任者
・従業員キャリア開発責任者
・人事管理担当者
・最高経営責任者
・人事・キャリア専門家
・人事専門家
・キャリアアドバイザー
・職業アドバイザー
・職業指導およびカウンセリング
・従業員仲裁者
・職業訓練管理者
・採用面接者
・職業アナリスト
・労働安全スペシャリスト
Q4:資本金に関する外資規制にはどのようなものがありますか。
Q4:外資企業は土地建物を除く投資額の合計は原則5桁の産業分類コードKBLIごとに100億ルピア超、引受資本金と払込資本金は25億ルピア以上を満たす必要があります。ただし、投資額については大規模商業の場合には、KBLIの頭から4桁ごとに、土地建物を除いて総投資額100億ルピア超、飲食サービスの場合には、KBLIの頭から2桁ごと、県・市レベルの立地ごとに、土地建物を除いて同100億ルピア超、建設サービスでは、KBLIの頭から4桁ごとに、土地建物を除いて同100億ルピア超、製造業では、1つの製造ラインにおいて様々な種類の製品を生産する場合、土地建物を除いて同100億ルピア超、開発から販売・賃貸まで手掛ける不動産業、短期・長期の宿泊施設提供、農業、農園、畜産業、養殖水産業については、KBLI5桁ごと、投資立地ごとに、土地建物を含めて100億ルピア、不動産開発では、ビル全体または統合住宅地の形の不動産の場合は、土地建物を含めて同100億ルピア超が必要であり、1つのビル全体ではない、または統合住宅地ではない不動産ユニットの場合は、土地建物を除いて同100億ルピア超が必要です。さらに、電気自動車用充電ステーションの開発と運営の場合には、州ごとに、土地建物を除いて同100億ルピア超を投資することが規定されています。
Q5:外資企業について優遇制度はありますか。
Q5:はい、外資企業誘致の目的で、タックスホリデー制度、タックスアローワンス制度、インベストメントアローワンス制度、経済特区制度などが存在します。
Q6:タックスホリデー制度とはどのような制度ですか。
Q6:重工業やテクノロジー、エネルギー産業を中心に投資優先事業分野に指定された18のパイオニア分野に対して、商業生産の開始より5年から20年にわたり、投資額に応じて法人税を50%または100%減額する便宜を供与できる制度です。法人税の減免が可能で、投資額に応じて、減免金額が規定されており、投資額1,000億ルピア以上5,000億ルピア未満の場合、商業生産開始から5年間50%、同5,000億ルピア~1兆ルピアで同5年間100%、同1兆~5兆ルピアで同7年間100%、同5兆~15兆ルピアで同10年間100%、同15兆~30兆ルピアで同15年間100%、同30兆ルピア以上で同20年間100%の減額が認められています。この年数を経過した後さらに2年間、投資額1,000億ルピア以上5,000億ルピア未満で法人税額の25%、5,000億ルピア以上で50%、行政による評価に応じて、それぞれ減額の便宜を与える場合もあります。
Q7:タックスアローワンス制度とはどのような制度ですか。
Q7:大統領規程2021年10号(大統領規程2021年第49号で改訂)にて投資優先事業分野に指定された分野のうち183分野について、特定の事業分野、特定の地域への既存の投資に対し法人税に関わる便宜が供与されます。優遇内容としては、a.) 投資額の最大30%までの純所得の控除、b.) 加速償却および加速償却(無形資産)、c.) 最大10年間の繰越欠損金控除期間の延長、d.) 第26条に規定する配当所得に対する所得税率を10%とする(ただし、適用される租税条約によりより低い税率が定められている場合はその税率を適用する)が規定されています(1983年法律第7号(所得税に関する法律)の第4次改正に関する2008年法律第36号第31A条)。
さらに、a.)タックスアローワンスの基本条件を満たした投資、b.)工業地帯・保税地区での投資、c.) 新/再生エネルギー分野での投資、d.)地域の経済・社会インフラに100億ルピア以上投資、e.) 投資後2年目から国内原料を70%以上使用、f.)300人以上のインドネシア人労働者を追加雇用して4年以上継続の場合には、優遇措置を1年延長することができ、a.)600人以上の追加雇用を4年以上継続、b.)5年以上、総投資の5%について研究開発費支出、c.) 保税区外に所在する場合で総売り上げの30%以上の輸出を実現した場合には、2年間の優遇延長が認められています。
Q8:インベストメントアローワンス制度とはどのような制度ですか。
A8:インベストメントアローワンス制度は、大統領規程2021年10号(大統領規程2021年第49号で改訂)にて投資優先事業分野に指定された分野のうち45分野で、労働集約型産業向けの法人税軽減とグロス所得の軽減の便宜が供与される制度です。優遇内容としては、労働集約型産業に投資を行う納税者に対して、一定期間において、投資額に対して一定割合の純所得控除という形で、所得税の優遇措置を受けることができ、主要事業活動に使用される土地を含む有形固定資産への投資額の60%を、商業生産開始年度から6年間にわたり、毎年10%ずつ控除することができます。当該所得税優遇の対象となる投資において、課税年度の平均が少なくとも300人のインドネシア人労働者を雇用することが条件として規定されています。また、労働訓練、実習、および/あるいは学習の活動に支出されたコスト総額の最大200%相当のグロス所得軽減措置が供与されることも規定されています。
Q9:経済特区制度とはどのような制度ですか。
A9:経済特区における投資について、ネガティブリストの不適用(規制分野に対する外資出資100%可)、タックスホリデー・タックスアローワンスの優先適用、輸入関税の留保(保税)、輸入にかかる諸税(付加価値税、前払い法人税、奢侈税)の不徴収などの便宜を供与する制度です。主な対象地域には以下が含まれます。
◆対象地域
・ジャワ島:タンジュンレスン(観光産業)、シンガサリ(観光産業、技術開発)、クンダル(輸出加工、ロジスティック産業、工業)、リドー(観光産業)、グレシク(金属(銅スメルター、鉄)、電機、化学、エネルギー産業、ロジスティック)、バンテン国際教育・技術・保健(研究・デジタル経済・技術開発、教育、保健、創造経済)、バタン・インドポリス(製造・加工、ロジスティックとディストリビューション、観光)
・バリ島:サヌール(医療、宿泊)、バリ・クラクラ(観光、創造産業)
・スマトラ島:セイマンケイ(パームオイル、ゴム産業等)、アルンロクスマウェ(石化産業等)、ガランバタン(ボーキサイト、アルミナ産業等)、セタンガ(製造・加工、ロジスティックとディストリビューション、およびエネルギー開発)
・スラウェシ島:パル(ニッケル、カカオ、海藻、ラタン産業等)、ビトゥン(水産、ココナツ産業等)、リクパン(観光産業)
・カリマンタン島:マロイバトゥタトランスカリマンタン(パームオイル、木材産業等)
・ロンボク島:マンダリカ(観光産業)
・バタム島:ノンサ(リサーチとデジタル経済および技術開発、観光、教育、創造的産業、他)、バタム・アエロ・テクニック(製造と加工、ロジスティックとディストリビューション、リサーチとデジタル経済および技術開発、他)、タンジュンサウ(製造・加工、ロジスティックとディストリビューション、エネルギー開発)、バタム国際観光・保健(観光と保健)
・その他:モロタイ(観光産業)、タンジュンクラヤン(観光産業)、ソロン(物流等)
【インドネシアの解散、清算及び破産に関するQ&A】
Q1. インドネシアでは会社の解散事由はどのようなものがありますか?
A1: 会社法上、以下の6つの解散事由が定められています。
(1)株主総会決議がなされた場合
(2)定款に記載された会社の存続期間が満了した場合
(3)裁判所の決定がなされた場合
(4)破産費用の支払いができないことを理由として商務裁判所から破産手続の取消決定がなされた場合
(5)破産宣告を受けた会社の財産財団が破産法に規定される債務超過状態にある場合
(6)会社の営業許可が取り消され、法令に従い会社の清算が求められている場合
Q2. 株主総会により解散決議はどのように行われますか?
A2: 取締役会、コミサリス会または10%以上の株式を保有する株主が解散提案を行った上で、株主総会では、4分の3以上の株式を有する株主が出席し、出席株主の4分の3以上の賛成が必要です(特殊決議)。
Q3.破産の手続はどのように行われますか?
A3: 破産法において、破産の手続きは、清算型の破産手続きと、再生型の支払い猶予手続きが規定されています。①和議案が提示されなかった場合、②提案された和議案が受理されなかった場合、③和議案の承認が判決に基づき拒否された場合に、破産財産(Harta Pailit)は法的に倒産状態(keadaan insolvensi)にあると判断されます(破産法第178条)。
清算型の破産手続きでは、2名以上の債権者を有する債務者が、期限が到来した債務を履行することができない場合、債務者、債権者、公益を代表する検察官などは破産申立を行うことができます(破産法第2条)。破産申立は債務者の居住地を管轄する商事裁判所に対して行われます(破産法第3条)。 裁判所は破産申立の受理から60日以内に、破産宣告をするか否かの決定をします(破産法第8条)。2名以上の債権者が存在しており、支払い期日が到来している債権の1つが不履行で、裁判所が、当該債務者に対して、破産を宣告した場合には、破産管財人及び監督裁判官を指名し、また、債権者3名を選任して債権者委員会を組織することができます(破産法第13条)。破産宣告がされた場合に、30日以内に債権者集会を開催する必要があります(破産法第15条)。集会では債務者は和議案を作成し、集会に出席した無担保債権者の過半数及び総債権額の3分の2以上の債権を有する者の同意によって、和議案の承認を得ることができ、破産手続きを終了させ、和議案の履行へと移行することが可能です(破産法第281条)。和議案が取り消された場合には、破産手続きが再開され、再提出は認められておりません(破産法291、292条)。
一方、再生型の破産手続きでは、債務者及び債権者は、裁判所に債務者によるその全債務の支払いに関する支払猶予(PKPU: Penundaan Kewajiban Pembayaran Utang)を申し立てることができます(破産法222条)。支払猶予の決定がなされると、債務者及び債権者は、裁判所に和議案を提出することができます(破産法228条)。和議案が債権者集会の同意を得て裁判所によって承認された場合、和議案は全債権者を拘束します(破産法第286条)。和議案が債権者集会での同意を270日以内に得られなかった場合、裁判所が和議案を承認しなかった場合、また債務者が和議案を履行しなかった場合、裁判所は債務者に対して破産を宣告します(破産法第228、285、291条)。ただし、2021年の憲法裁判所の決定に基づき、➀PKPUが債権者によって開始された場合、②債務者の提案が却下された場合の二つを満たす決定については、債務者は最高裁判所に異議申し立てをすることが可能です(破産法に関する決定2021年第23号)。
【インドネシアの裁判及び仲裁制度に関するQ&A】
Q1. インドネシアの裁判制度はどのようになっていますか?
A1: インドネシアの司法権を担う機関は、最高裁判所、最高裁判所の下に位置づけられる裁判所と憲法裁判所で構成されています。最高裁判所の下に位置づけられる裁判所とは、地方裁判所、高等裁判所の他、行政裁判所、宗教裁判所、労働裁判所、軍事裁判所、税務裁判所、商業裁判所、汚職裁判所、人権裁判所、少年裁判所および漁業裁判所です。
Q2.インドネシアの民事訴訟制度はどのようになっていますか?
A2: 民事上の請求は、原告が訴訟費用を支払い、訴状を裁判所に提出することにより開始される。訴訟開始は、高等裁判所においては、召喚令状、呼出状、請願書などにより、下級裁判所においては、召喚状により行われます。
請求書に対し反論する意向を有する被告は、出廷予告書を裁判所に提出する必要があり、提出しない場合、欠席判決が下されます
その後、相互に答弁書を提出し、書類の証拠開示手続が行われ、証拠が交換されます。これらの手続を経て、事実審理が行われます。
Q3.インドネシアにおいて日本の判決は執行されますか?
A3:インドネシアでは、外国の判決をインドネシアで執行することができる制度は設けられていないため、執行されません。裁判所による解決を図る場合には、改めてインドネシアの裁判所において訴訟を提起する必要があります。
Q4. インドネシアにおいて労働事件に関する特別な取扱は存在しますか?
A4: 労使紛争解決手続としては、①二者間協議、②労働移住省における手続(斡旋、調停または仲裁)、③労働裁判所・裁判所があり、この流れで手続が行われます。
Q5. インドネシアにおける仲裁制度はどのようになっていますか?
A5: 仲裁法が存在しますが、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の国際商事仲裁に関するモデル法に依拠していないため、国際標準とは異なる制度となっています。
インドネシアには、BANI(インドネシア仲裁委員会・Badan Arbitrase Nasional Indonesia)があり、インドネシア国内で仲裁を行う場合には、BANIが利用されることが多いと考えられます。
その他、インドネシアは、外国仲裁判断の承認および執行に関する条約(ニューヨーク条約)を批准しているため、同条約および仲裁法の拒絶事由に該当しない限り、JCAA(日本商事仲裁協会)、SIAC(シンガポール国際仲裁センター)などの外国仲裁機関の行った仲裁判断をインドネシア国内で承認および執行することができます。
仲裁法上、外国仲裁機関の承認および執行は、ジャカルタ中央地方裁判所が取り扱うこととなっており、仲裁人またはその代理人は同裁判所に対し、仲裁判断を提出して登録を行った上で、執行命令を取得するための申立てを行う必要があります。
【インドネシアの特許法に関するQ&A】
Q1.どのような発明なら、特許を取得できますか?
A1.発明が、新規性・進歩性及び産業上利用可能であれば、その発明は特許を受ける事ができます(特許法3条1項)。
Q2.発明とは、どのように定義されていますか?
A2.インドネシアでの発明の定義は、
「特定の技術的な問題の解決のために創作された発明者の技術的思想であって、物または方法の改良および改善(特許法1条2項)」です。
Q3.特許を受けることができない発明はありますか?
A3.特許を受けることができない発明として、以下の(1)~(5)が挙げられます。
(1)その公表、使用または実施が、法規、宗教、公共の秩序または道徳に反する方法または道徳に反する方法または物
(2)人および・または動物に対する検査、看護、治療および・または手術の方法
(3)科学および数学の分野における理論および方法
(4)微生物を除く生物
(5)植物または動物の生産に必須の生物学的方法、ただし、非生物学的方法または微生物学的方法を除く
Q4:インドネシアでの特許出願はどのように行いますか。
A4:出願は所定の願書および添付書類を提出して行います。電子出願も可能であり、明細書には、明瞭かつ完全に、当業者が当該発明を実施できるよう記載しなければなりません。また、発明が、遺伝子資源および/または伝統的知識に関するおよび/または由来する場合には、明細書において当該遺伝子資源および/または伝統的知識の期限が明瞭かつ真実に記載されなければなりません。出願が完了すると最低限の方式を備えているか判別するための方式審査が行われ、手数料の納付を行い、完了したことを証明すると、出願日が付与されます。方式審査を終えた出願は、出願日から起算して18カ月経過した後、7日以内に、6カ月を期限として出願公開されます。この期間に第三者は異議申し立てすることができます。出願公開期間が満了すると実体審査が行われます。出願人は出願日から36カ月の間、実体審査請求をすることができ、この期間に実体出願請求を行わかった場合には、出願は取り下げられます。実体審査は審査官により行われ、実体審査請求日または出願公開期間の終了日のいずれか早い日から起算して30カ月以内に出願の認容または拒絶が決定されます。出願が認容された場合には、特許付与通知書が出願人に送付され、送付日から2ヵ月以内に特許証が発行されます。
【インドネシアの商標法に関するQ&A】
Q1. 商標を登録すると、どんなメリットがありますか?
A1.商標が登録されれば、その商標を侵害している者に対して、民事訴訟、刑事訴訟または税関差止めを通して権利行使をすることができます。
Q2. 商標の出願の流れは,どのようになっていますか?
A2.「出願→方式審査→出願公告開始→異議申立期間(出願公開開始から2か月)→出願公告終了→実体審査→登録査定→登録」という流れになっています。
Q3. 登録できない商標としてはどのようなものがありますか?
A3. 登録できない商標(登録不能事由)としては、
・国家のイデオロギー、法律・規則、道徳、宗教、良俗または公の秩序に反する標章
・指定商品・役務の説明に過ぎない標章、これらに類似または関連する標章
・指定商品・役務の出所、品質、タイプ、サイズ、意図された使用方法を誤認させる可能性のある要素を含んでいる標章、または指定商品・役務に類似する保護された植物の新品種の名称を構成する標章
・識別性を有する特徴がない標章
・一般名称、公共のサインとなっている標章
また、登録されている同一または類似の指定商品・役務がある場合は、登録拒絶事由に該当し、正当な権限を有する者の書面による同意があれば登録が認められます。
Q4. 登録された商標を第三者へライセンス供与することは可能ですか?
A4:インドネシアでは登録された商標について第三者へライセンス供与(使用許諾)することが認められています。
ライセンス契約は商標権者(ライセンサー)と使用許可を受ける側(ライセンシー)との間で締結され、その内容には通常、独占的か非独占的かといった許諾形態、サブライセンスの可否、契約期間、当事者の権利義務、許諾対象の商標および商品・役務の範囲などが定められることが一般的で、インドネシア商標法上、商標ライセンス契約は知的財産総局への登録が義務付けられています。登録をしないと第三者に対抗できません。また、インドネシアの経済発展を阻害しないこととするという制限もあり、公序良俗に反する内容を含めてはなりません。
Q5. 商標権の譲渡は可能ですか?
A5:インドネシアでは商標権(登録商標)を他人に譲渡することが認められています。譲渡は通常、売買・企業買収・グループ内移転・相続などにより発生しますが、いずれの場合も譲渡契約書を作成し、知的財産総局への名義変更登録を行う必要があります。
Q6. 商標の登録後、使用していなくても問題はありませんか。
A6. 商標は登録後、できる限り早期に使用を開始することが望まれます。登録後一定期間、正当な理由なく使用されていない場合、利害関係人から不使用取消請求を受け、商標登録が取り消される可能性があります
Q7. 商標登録後に取り消しとなった実例はありますか。
A7. あります。インドネシア最高裁は、2015年の判決において、スウェーデン発家具大手 IKEA の商標「IKEA」について、利害関係人の申立てを受け、インドネシア国内で3年間実使用がなかったことを理由に不使用取消を認めました(最高裁判決第264 K/Pdt.Sus-HKI/2015号)。同判決は、著名性や海外での使用実績のみでは商標権は維持できないと判断しています。
このように、インドネシアで商標登録があっても、実使用がない場合には取消される可能性があるため、登録後は早期に使用を開始することが重要です。
Q8. 商標の不使用とされる基準、要件はありますか。
A8 商標法では、登録後3年間、正当な理由なく商標が使用されていない場合、不使用取消の対象となることが規定されています。ただし、どのような行為が「使用」に該当するかについては、法令上明確な定義はありません。
本事件では、商標権者が販売開始前に「IKEA」商標を登録したものの、その後3年間にわたり、インドネシア国内で店舗開設、商品販売、輸入、広告等の実使用が認められなかったため、不使用を理由として商標登録が取り消されました。
【インドネシアの弁護士制度に関するQ&A】
Q1:インドネシアの弁護士資格はどうすれば取得できますか?
A1:インドネシア法の弁護士資格は、25歳以上のインドネシア国内に居住するインドネシア国民しか取得することができません。法学部(4年制)を卒業したのち、統一弁護士会(PERADI)の法律専門家コースを修了し、同会が実施する弁護士試験に合格した上で、弁護士の事務所で2年間のインターン活動をすることにより取得できます。
Q2:インドネシアに弁護士会はありますか?
A2:2003年に制定された弁護士法により統一弁護士会(PERADI)が唯一の弁護士会として2004年に発足しましたが、その後分裂し、現在ではKongres Adovokat Indonesia (KAI)等の複数の弁護士会が存在しています。
Q3:インドネシアに司法書士や行政書士等の隣接法律職はありますか?
A3:インドネシアには、弁護士の他に、法務コンサルタント、土地証書作成官(PPTA)および公証人(ノタリス)が存在します。法務コンサルタントは、法律に関連した助言を行い、訴訟に直接関連したサービス以外の業務を行うことができます。土地証書作成官は、土地に関連する権利の登記等の業務を行います。公証人は、土地証書以外の公正証書の作成を行います。
【雇用創出オムニバス法に関するQ&A】
Q1:最近、雇用創出オムニバス法が制定されたと聞きましたが、どのような内容ですか?
A1:雇用創出オムニバス法は、2020年11月2日に施行された法律で、雇用創出のための投資誘致を目的として、労働、投資など11分野について、関連する法律79本を一括して改正したものです。
11分野のうち、事業許認可、投資要件、労働、中小零細企業、事業便宜、土地収用、経済地区の7つの分野については、企業の事業活動に大きく関係する分野であるといえます。たとえば、最低賃金の算定方法改正や退職手当の引き下げ、外資規制の緩和など、企業がインドネシアに進出する上で、極めて重要な内容が多く含まれています。
もっとも、同法には、実質的な内容について、大統領規程や政府規制に委任する条文が多く、不透明な部分が多いことから、今後の細則整備の進捗とその内容を注視する必要があるといえます。
Q2:雇用創出オムニバス法による今後の運用について注意すべき点はありますか?
A2:2024年10月31日、インドネシア憲法裁判所は、インドネシアの労働組合からの申し立てに対して、7つの項目、(1)外国人労働者に関する規定、(2)有期雇用契約、(3)アウトソーシング、(4)休暇、(5)解雇、(6)賃金、(7)退職金に関する内容の一部について、条件付き違憲判決が下されました。
本判決は総じて、労働者の権利を根強くするものとされております。現在、憲法裁判所は、新しい労働法の策定と、現在の労働法から本判決に関する規定の削除と改正を要求しており、今後、本判決に沿った新しい労働法規定の策定が予想され、その法令の下では、本判決では示されなかった、より具体的な内容にも言及されるものと思われ、静観が必要です。
Q3. 2024年オムニバス法の一部を違憲とする判決はどのような内容ですか。
A3. 2024年10月31日付憲法裁判所判決第168/PUU-XXI/2023号において、インドネシア憲法裁判所は、インドネシアの労働組合からの申し立てに対して、7つの項目、(1)外国人労働者に関する規定、(2)有期雇用契約、(3)アウトソーシング、(4)休暇、(5)解雇、(6)賃金、(7)退職金に関する内容の一部について、条件付き違憲判決を下しました。
本判決は総じて、労働者の権利を根強くするものとされています。
具体的に以下のような申し立てと判決が下されています。
(1)外国人労働者に関する規定(改正オムニバス法第42条)
・申請:オムニバス法では外国人労働者には「特定の役職」のみに就労できる規定があるが、不明確である。
判決:多様な解釈が可能でありインドネシア人労働者の権利を侵害する可能性があるという点から、外国人労働者には、特定の証明が必要であり、役職に適したスキルが確認されなければならない。また、外国人労働者はインドネシア人労働者に技術と専門知識の移転を保証する必要があり、違反した場合、RPTKA(外国人労働計画の承認)が取り消され、更新も拒否されるべき。
(2) 有期雇用契約(改正オムニバス法第57条)
・申請:書面で雇用契約書が作成されない場合、労働者の権利が損なわれてしまう可能性がある。
判決:インドネシア語およびラテン語での書面作成を必須とした。また、契約期間は最長5年間であることを再確認している。
(3) アウトソーシング(改正オムニバス法第64条)
・申請:アウトソーシング可能な業務の範囲についての明確な法的基準が欠如している。
判決:労働大臣はアウトソーシング可能の対象となる業務の種類と分野を指定する必要がある。
(4) 休暇と賃金(改正オムニバス法第79条)
・申請:週6日勤務の従業員への1日間の週休は明記されているが、週5日勤務の従業員に対する2日間の週休が明記されていない。
判決:法律には「1日間の休暇(週6日勤務)」または「2日間の休暇(週5日勤務)」が含まれるべきである。
(5) 解雇(改正オムバス法第154条)
・申請:解雇に関連する補償や解決プロセスの説明が不十分である。
判決:雇用者は労働者との協議を尽くした後で、労働裁判所の判決を得て、初めて従業員を解雇することができ、それまでの間は給与を支払わなければならない。
(6) 賃金(改正オムニバス法第90条)
・申請:「最低賃金以上の賃金は、雇用者と労働者の間での合意に基づいて決定される」という規定が労働者の権利を損なう可能性がある。
判決:「最低賃金以上の賃金は労働者、雇用者、および労働組合の間で合意に基づいて決定される」と規定するべき。
(7) 退職金(改正オムニバス法第156条)
・申請:退職手当(uang pisah)、権利補償手当(uang penggantian hak)、および功労金(uang penghargaan masa kerja)の計算方法や最低額が不明確であり、労働者が不当に少ない補償を受ける可能性がある。
判決:補償金額および支払い条件に最低基準を設け、雇用者が法定最低額を超える退職金を支払う必要がある。
【言語法に関するQ&A】
Q1:インドネシア語で契約書を作成しなければならないでしょうか。
A1:インドネシア語での文書を作成する必要があります。外国語文書が必要な場合は、インドネシア語と外国言語の契約書の両方をインドネシア語文書に即して翻訳しなければなりません。
2013年6月には、西ジャカルタ地方裁判所において、英語版でのみ締結されたローン契約について、インドネシア語版の契約書が作成されていないことを理由の一つとして、同契約を無効とする判決が下されています。その後、控除審であるジャカルタ高等裁判所は2014年5月に一審判決を維持する判断を下し、さらに2015年8月には最高裁判所も同内容の判断をし、同契約を無効とする判決が確定しています。また、2019年インドネシア語の使用に関する大統領規則2019年第63号において、①インドネシア人またはインドネシア法人が含まれる覚書・契約書についてはインドネシア語版が必要、②外国当事者が含まれる契約書等については、外国語またはインドネシア語を併記することが可能である、③外国語または英語はインドネシア語に対応するものまたは翻訳として用いられる、④外国当事者が含まれる契約書等について翻訳等と解釈に齟齬が生じた場合には、契約書において合意された言語を優先する旨が規定されています(同規則第26条)。
Q2:インドネシア語と外国語での契約文書ではどちらが優先されますか。
A2:契約書において合意された言語が優先されます。2019年インドネシア語の使用に関する大統領規則2019年第63号では、外国当事者が含まれる契約書等について翻訳等と解釈に齟齬が生じた場合には、契約書において合意された言語を優先する旨が規定されています。
Q3:言語法に関する通達やガイドラインは出ていますか。
A3:2023年に、最高裁判所は、裁判所による業務遂行のガイドラインに関する通達2023年第3号(以下「2023年通達」といいます)を制定しています。2023年通達の中で、一般民事に関する項目において、インドネシアの民間団体または個人が外国の当事者と外国語で契約を締結した場合において、インドネシア語訳が付されていないとしても、それだけを理由に契約の無効を主張することはできないとされています。ただし、インドネシア語訳がないことが一方当事者の悪意(iktikad tidak baik)によるものであると証明された場合は、この限りではありません(2023年通達B第1項)。
もっとも、2023年通達は、法令として言語法や新規則を改廃する効力を有するものではなく、最高裁判所の管轄下にある裁判官向けの運用指針にとどまります。そのため、裁判所外に法的拘束力はなく、仲裁機関等の独立した判断主体では、引き続き言語法や新規則に基づく判断がなされると考えられ、2023年通達の存在のみを根拠に英語のみで契約を締結することは避け、引き続きインドネシア語版契約書を作成し、英語等との二言語併記とした上で、優先言語を明記する対応が必要です。
【ハラル認証に関するQ&A】
Q1:ハラル製品は認証を取得する必要がありますか。
A1:分野に応じてハラル製品の認証取得が義務づけられています。認証義務がある製品には、食品、飲料、医薬品、化粧品、化学製品、生物学的製品、遺伝子組換製品、着用・使用・利用される消費財に関する商品及びサービスを指します。
Q2:2021年の法令の下でのハラル認証義務の対応期限はいつですか。
A2:2021年政令第39号141条では以下のとおり、対応期限が定められています。
Q3:ハラル認証の実施機関はどこですか。
A3:インドネシアにおいて、ハラル認証を実施する機関 は、宗教省直下に設置された「ハラ ル製品保証実施機関」( BPJPH)です。従前は、民間団体であった「インドネシア・ウ ラ マ評議会」( MUI)がハラル認証の発行権限を有していましたが、 2019 年にその権限が BPJPH に移管されました。 また、 BPJPH がハラル認証を行う前提 として、 BPJPH から「ハラル検査機関」( LPH) が実施する審査や、 MUI が実施するハラルファトワによる審理といった手続を経る必要が あるため、上記の 3 つの機関が、相互に連携しながら、ハラル認証事務を実施しています。
【個人情報保護法に関するQ&A】
Q1. 個人情報保護法における個人情報(個人データ)とは何を指しますか。
A1:個人情報保護法上、個人情報を一般個人情報と特定個人情報の2つに分けて規定しています。1)一般個人情報とは、氏名、性別、国籍、宗教、配偶者の有無などです。 一方、2)特定個人情報には、健康情報、生体情報、遺伝情報、犯罪記録、児童情報、個人財務情報、その他適用される法律に基づくデータが含まれます。
Q2. 個人情報保護法上における、データ管理者、データ処理者とは何ですか。
A2:個人データを取り扱う主体をデータ管理者とデータ処理者に区分しています。
データ管理者とは、個人データの処理に関する目的を決定し、管理権を行使する個人、公的機関、国際機関等を指します。データ管理者の義務として、(a)個人データ主体からの同意を証明すること、(b)すべての個人データ処理活動を記録すること、(c)個人データの安全性を保護・確保すること、(d)個人データ処理の合法性、目的、妥当性を伝えることなどが規定されています。 一方、データ処理者は管理者に代わって個人データ処理において自ら又は共同して行動する全ての個人・企業、公的機関及び国際機関が該当します。処理者は、管理者の指示に基づいて個人データを処理しなければならず、他の処理者に処理を委託する場合、管理者から書面による承諾を受けなければならない等の義務が規定されています。
Q3. データ保護責任者(DPO)は必ず任命しなければなりませんか。
A3:DPO を選任しなければならない状況は主に、① 公共事業のために個人データ処理を行う場合 ② データ処理の過程において、大量のデータに対する構造的かつ体系的な監視が必要な場合 ③ データ処理の中核的活動が、大量の特定個人データ及び/又は犯罪行為に関する個人データの処理に関連する場合があります。なお、大量のデータか否かを決定する基準値や定義は規定されていません。DPO の選任の基準について、2023年8月31日付PDP法に関する政令案では、専門性、法律の知識、個人データ保護の実践、職務遂行能力に基づいて任命されるとされています。なお、政令案の基では社内外いずれかから任命してもよい旨が公表されています。
Q4. 個人情報を海外に移転することは可能ですか。
A4データ管理者は、個人情報をインドネシア国外に移転するために、①移転先国がインドネシアと同等以上の個人データ保護水準を有していることを確認すること、②適切かつ拘束力のある個人情報保護が確保されていることを確認すること、③個人データ主体から明確な同意を得ることのいずれかが必要となる。
なお、③に関して、政令案の下では、(a) 移転が反復的でないこと、(b) 移転対象となるデータ主体が少数に限定されていること、(c) 移転が、データ主体の権利や自由を損なわない目的のために必要であること、(d) 個人データ管理者がリスク評価を実施し、適切な保護措置を講じていること、(e) 個人データ管理者が、個人データ保護機関(Lembaga PDP)およびデータ主体に対し、移転の実施と、その移転により得られる正当な利益について通知を行っていることが条件として、規定されている。
Q5. 個人情報保護法に違反した場合、どのような罰則がありますか。
A5:個人情報保護法違反者に対する制裁には、行政制裁と刑事罰の2種類が規定されています。個人情報保護法上では、 (a)書面による警告、(b)個人データ処理活動の一時停止、(c)個人データ の削除または破棄、(d)年間所得または年間収入の最大 2%までの行政罰金、及び/又は(e) 賠償請求、(f)事業許可の取り消し、(g)会社の解散 という形で行政制裁を規定しています。 一方、刑事罰に関して、禁止行為を行った個人または 法人に対して最高40億から60億ルピアの罰金および最高4年から6年の禁固刑、犯罪行為によって得た利益及び/又は資産の没収、賠償金の支払いが規定されています。
Q6. 個人情報保護法のデータ保護責任者に関する憲法裁判所判決とはどのような内容ですか。
A6. インドネシアの憲法裁判所は、個人情報保護法(以下「PDP 法」といいます。)に関する新たな判決 (2025 年 7 月16日付判決第151/PUU-XXII/2024 号(以下「本判決」といいます。))を下しました。 本判決では、PDP法におけるデータ保護責任者(以下、「DPO」といいます。)の任命要件に関する条文の解釈について、明確にしています。
Q7. 本判決の前後で何が変わりますか。
A7. 本判決の前では、個人情報保護法第53条においてDPOの選任の基準について、① 公共事業のために個人データ処理を行う場合 、② データ処理の過程において、大量のデータに対する構造的かつ体系的な監視が必要な場合、 ③ データ処理の中核的活動が、大量の特定個人データ(健康に関する情報、生体情報、遺伝子情報、子どもに関する情報、個人の財産に関する情報等の本人に重大な影響を及ぼし得る情報)及び/又は犯罪行為に関する個人データの処理に関連する場合(PDP法53条)と規定されていますが、①~③の項目は、“and(および)”により、接続されていることから、PDP法上の文言上からは、すべての要件を満たす場合に、DPO 選任義務があると解釈されていました。
しかし、インドネシア憲法裁判所は①~③の条件について、3要件のうち、一つを満たせば、DPO選任義務があることを明確にしました(判決番号151/PUU-XXII/2024)。そのうえで、条文中の“and(および)”は、“and/or(および/または)”と解釈される限りにおいて、合憲であると判断しました。本判決により、DPO 選任義務の対象範囲は拡大され、①~③のいずれかの条件に該当する場合には、DPOを任命する必要があります。
【担保法制に関するQ&A】
Q1. 担保設定が可能な権利には何がありますか。
A1:インドネシアでは、担保の目的となる権利は、主に担保物権として法令上認められている権利に限られます。代表的なものには、①質権(Gadai)、②信託担保権(Fidusia)、抵当権(Hak Tanggungan)などがあります。
Q2. 質権(Gadai)とは何ですか。
A2:質権とは債務の担保として、動産を債権者に引き渡すことによって成立する担保物権のことをいい、担保の対象である質物の引き渡しが担保成立の要件とされています。質物について質権を有する質権者は、債務が履行されない場合には、当該質物から他の債権者に優先して弁済を受ける権利を有します。質権の設定は、契約書の締結が必須であり、質物が有形動産や無記名債権である場合、質物を、債権者自身が占有するか、または債権者の指定する第三者に引き渡すことによって成立します。
Q3. 信託担保権(Fidusia)とは何ですか。
A3:信託担保権とは、担保権者と担保権設定者との間の信任に基づき、担保権設定者が担保権者に担保目的物の所有権を譲渡しつつ、担保権設定者が引き続き当該目的物を占有し、従前どおりの利用を続けることができる担保権であり、有形・無形の動産および抵当権設定の対象とならない不動産が対象となります。
信託担保の設定には公証人の面前での信託担保権設定証書の作成および登記所での登記が必要です。また、既存および将来の資産を担保目的物として設定することが可能であり、複数の信託担保権者のために同時に設定することや、金融機関のエージェントや受託者など、信託担保権者を代表する代理人または受任者を担保権者として設定することも認められています
Q4. 抵当権(Hak Tanggungan)とは何ですか。
A4:抵当権とは、土地に関する権利およびその土地に付随する物に設定される担保権であり、特定の債務の弁済を担保するために設定され、他の債権者に優先して弁済を受ける地位を債権者に与えることができます。一般に、不動産上の権利を担保にとる場合には、当該抵当権が利用されます。抵当権は、抵当権者と設定者との間で抵当権を設定する旨の合意がなされ、かかる合意に基づき、土地公証人(PPHT)によって抵当権設定証書(APHT)が作成されることにより設定されます。その後、抵当権設定証書に基づき登記簿に登記されることにより、抵当権の効力が生じます。
【海外からの借入れに関するQ&A】
Q1:インドネシアの企業から海外から借入れを行う場合、どのような規制がありますか。
A1:➀四半期末から3か月以内および6カ月以内に期限が到来する外貨建ての負債に対して、それぞれ25%以上の外貨建て資産を保有していること、②流動性比率に関して、四半期末から3か月以内に期限が到来する外貨建ての負債に対して、70%以上の外貨建て資産を保有すること、さらに、③海外もしくは国内における格付け機関(Lembaga Pemeringkat)によって認定された、最低「BB」に相当する信用格付け(Peringkat Utang)を有していることが義務付けられています。③の信用格付けについては、債務残高の総額が増加しない、またはその増加が一定の限度内であるリファイナンスの場合や一定の要件を満たすインフラプロジェクトの資金調達の場合には、適用除外されます。
Q2:海外からの借入れに関して、どのような報告義務がありますか。
A2:Q1での、3つの基準を満たしていることに関して、四半期ごとに、インドネシア中央銀行に報告する義務があり、遵守状況について、インドネシア中央銀行は監視および調査を実施する権限を有しています。報告はオンラインシステムを通じて行います。
【インドネシアM&Aに関するQ&A】
Q1. インドネシアにおけるM&Aの法的形態にはどのようなものがありますか。
A1:インドネシア会社法において、M&Aの法的形態として、株式譲渡(Share Transfer)、合併(Penggabungan)、分割(Pemisahan)などが規定されています。
Q2. 会社の支配権は、どのような方法で取得することができますか。
A2:会社法において支配権の取得は、① 対象会社の取締役会を通じて行う方法、または② 既存株主から発行済株式、もしくは新規に発行される株式を取得する方法により行うことができるとされています。
Q3. 対象会社の取締役会を通じて買収を行う場合、買収者にはどのような義務がありますか。
A3:対象会社の取締役会を通じて支配権取得を行う場合、買収者は、支配権取得を行う意図について、対象会社の取締役会に対して事前に通知しなければならないとされています。この通知を受けた上で、対象会社および買収者の取締役会は、コミサリス会の承認を得て買収計画を作成する必要があります。
Q4. 買収計画は、どのように公表・通知する必要がありますか。
A4:対象会社の取締役会は、買収に関する株主総会決議の30日前までに、買収の要旨を1紙以上の日刊全国紙で公表し、従業員に対して書面で通知しなければなりません。
Q5. 買収に対して債権者が異議を申し立てることはできますか。
A5:買収に異議のある債権者は、買収計画の公表日から14日以内に異議を申し立てることができます。この期間内に異議申立てがなされなかった場合、債権者は当該買収に同意したものとみなされます。
Q6. 買収について債権者から異議が出た場合、買収手続きはどのように進められますか。
A6:異議が申し立てられた場合、対象会社の取締役会はその解決を図らなければなりません。株主総会開催日までに異議が解決されない場合には、その内容を株主総会に報告する必要があります。さらに、株主総会においても解決できない場合、当該買収行為は実施することができません。
Q7. 買収を実施するための株主総会決議には、どのような要件がありますか。
A7:買収計画は、買収者および対象会社の取締役会から株主総会に提出され、承認決議を得る必要があります。当該決議は、議決権のある全株式の4分の3以上を保有する株主が出席し、出席株主が行使した議決権の4分の3以上の賛成により可決されます。
Q8. 株主総会の定足数を満たせない場合、どのような対応が可能ですか。
A8:第1回株主総会で定足数を満たせない場合には、第2回株主総会を開催することが可能です。第2回株主総会では、議決権のある全株式の3分の2以上を保有する株主が出席し、出席株主が行使した議決権の4分の3以上の賛成により、買収計画が承認されます。
Q9. 買収に反対する株主には、どのような権利が認められていますか。
A9:株主は株式買収請求権を有しており、買収が会社または株主に損害を及ぼすとして反対する株主は、会社に対して自己の株式を合理的な価格で買い取るよう請求する権利を有します。
【インドネシアにおける電子取引に関するQ&A】
Q1. インドネシアにおける電子取引とは何を指しますか。
A1:インドネシアでは、電子情報・電子取引法において、電子取引は、電子システムを通じて行われる法的行為と位置付けられています。契約の締結、通知、支払、承認などが電子的に行われる取引などが含まれます。
Q2. 電子契約は書面契約と同じ法的効果を持ちますか。
A2:電子情報・電子取引法に基づき、原則として、電子契約は書面契約と同じ法的効果を持ちます。ただし、法令により書面での作成が義務付けられている文書、公証人による作成が義務付けられている文書およびその添付書類は、電子形式が認められていません。
Q3. 電子署名はインドネシアでは有効ですか。
A3:電子署名は一定の要件を満たす場合に、有効です。電子情報・電子取引法において、a )電子署名の作成データが、当該署名者のみに結び付いていること、b)署名時に、署名者本人だけが電子署名を管理できる状態にあること、c) 署名後に生じたすべての変更を検知できる仕組みが存在すること、d) 当該電子署名に関連する電子情報について、署名後に生じたすべての変更を検知できる仕組みがあること、e) 署名者が誰であるかを特定できる手段が存在すること、f) 署名者が、当該電子署名に関連する電子情報に対して同意を与えたことを示す手段が存在する場合に、電子証明は法的効力を有します。
【インドネシアにおけるフランチャイズに関する要件】
Q1.フランチャイズ事業として認められるためには、どのような事業要件を満たす必要がありますか。
A1:フランチャイズ事業を行うためには、一定の事業要件を満たすことが求められます。具体的には、法令上、事業要件は大きく4つの区分に整理されており、①ビジネスシステムに関する要件、②事業の収益性に関する要件、③知的財産権の保有に関する要件、④フランチャイジーに対する継続的サポートに関する要件を満たす必要があります。
Q2. ビジネスシステムに関する要件には、どのような内容が含まれますか。
A2:Q1でのビジネスシステムに関する要件として、フランチャイザーは、フランチャイズ事業を円滑に運営するための具体的かつ体系的な業務手順を整備している必要があります。これには、人材管理、管理業務、運営管理、標準的な業務方法、事業拠点の選定およびデザイン、従業員の要件、マーケティング戦略などが含まれ、フランチャイジーが同一水準のサービスや商品提供を行える体制が求められます。
Q3.フランチャイズ事業における収益性の要件とはどのようなものですか。
A3:フランチャイザーは、一定期間にわたり事業を継続し、収益性のある事業を営んできた実績を有していることが求められます。具体的には、少なくとも過去3年間にわたり事業を継続し、その期間を通じて収益性を確保していることが、事業の安定性およびフランチャイズ展開の前提条件とされています。
Q4.知的財産権に関して、フランチャイザーにはどのような要件がありますか。
A4:フランチャイザーは、フランチャイズ事業の中核となる商標やその他の知的財産権を、正式に登録した上で保有している必要があります。知的財産権が登録手続中であるだけでは足りず、登録が完了していることが求められます。
Q5.フランチャイザーは、フランチャイジーに対してどのようなサポートを提供する必要がありますか。
A5:フランチャイザーは、フランチャイジーに対して継続的なサポートを提供する義務があります。この継続サポートには、人材トレーニング、運営管理に関する指導、プロモーション活動、製品に関する調査、市場開発などが含まれます。
Q6.フランチャイズ目論見書とは何で、どのような手続が必要ですか。
A6:フランチャイズ目論見書とは、フランチャイズ事業の内容や条件について、フランチャイジーに対して事前に開示するための書面です。フランチャイザーは、フランチャイズ契約締結日の少なくとも14日前までに、この目論見書をフランチャイジーに提供しなければなりません。また、当該目論見書は、電子的な事業許認可システム(OSS)に登録した上で、フランチャイズ契約締結前にフランチャイズ登録証(STPW)を取得する必要があります。
Q7.フランチャイズ目論見書には、どのような情報を記載する必要がありますか。
A7:フランチャイズ目論見書には、フランチャイザーの組織体制や事業の合法性、フランチャイザーおよびフランチャイジーの権利義務に関する事項に加え、フランチャイズ事業に関連する知的財産権が登録されていることを示す証明書の情報を記載する必要があります。
Q8.外国法人がフランチャイザーとなる場合、STPW取得にあたって特別な要件はありますか。
A8:外国法人がフランチャイザーとしてSTPWを取得する場合には、フランチャイズ目論見書をOSSに登録する際の添付資料として、本国における事業許可証および事業継続性を証明する書類を提出する必要があります。
Q9.フランチャイズ規制に違反した場合、どのような制裁が科されますか。
A9:規制に違反した場合には、段階的な行政制裁が科されます。まず警告書が発行され、警告書の有効期間は14営業日とされています。3回目の警告書発行後、14営業日以内に義務が履行されない場合には、一時的な事業活動停止が命じられます。さらに、事業活動停止期間を経ても義務が履行されない場合には、STPWが取り消されます。STPWの取消処分を受けた事業者は、取消決定日から5年間、新たにSTPWを申請することができません。
【最高裁判決に関するQ&A】
Q1. 2023年における就業契約における競業避止義務に関する最高裁判決はどのような内容ですか。
A1. 2023年11月23日付最高裁判決第3549 K/Pdt/2023号において、最高裁は、雇用契約に定められた競業避止義務および営業秘密保持条項について、その内容が合理的かつ限定的である場合には有効となり得ると判断しました。また、退職後直ちに競合他社に関与した行為について、債務不履行に該当すると認定し、使用者保護の姿勢を明確に示しています。本判決では、当該従業員に対し多額の損害賠償の支払義務を認めるとともに、競合他社との協力関係を制限する判断が示されました。
Q2. 最高裁判決第3549 K/Pdt/2023号の判決により、どのような行為が可能となりますか。
A2. 本判決により、雇用契約に定められた競業避止義務や営業秘密保持条項は、内容が合理的かつ限定的である限り、有効に執行され得ることが最高裁レベルで明確になりました。これまで競業避止義務は労働者の職業選択の自由との関係で執行が困難と考えられていましたが、本判決は、営業秘密の保護を目的とする場合には民法上の債務不履行として使用者側の請求が認められる可能性を示しています。雇用契約書や就業規則において、競業避止の対象範囲、期間、目的を明確に定めることで、退職後のリスク管理を強化できる重要な指針となります。
【債権譲渡に関するQ&A】
Q1:債権譲渡が成立する条件はありますか。
A1:法令上、債権譲渡が有効となるためには、a) 譲渡人と譲受人との書面による債権譲渡合意および、b) 債務者の書面承諾または債務者に対する書面通知が必要です。b) については、実務においては、債務者の承諾を得ることが通常行われています。また、債権譲渡禁止特約は、当事者間の同意により有効に成立するものと考えられていますが、債権譲渡禁止特約に違反して譲渡された場合の効果についての規定は存在しておらず、契約上の禁止特約に違反した債権譲渡は無効と解される可能性があるため、債権保全の一環として債権譲渡を行うときにおいても、契約書の確認が重要です。
Q2:債権譲渡の際に、相殺を行うことは認められますか。
A2:債権譲渡の際に限らず、民法上、相殺についても認められています。相殺が認められるのは、①両当事者が相対する債務を負担していること、②両債務が金銭債務または同種の目的を有していること、③両債務が弁済期にあること、④両債務の性質上相殺が禁止されていないことが規定されています。民法上、当該条件を満たす場合には、自動的に相殺が行われる規定となっていますが、実務上においては、紛争予防の観点から相殺を行う場合には両当事者による相殺合意を行うことが多いです。
【通貨法に関するQ&A】
Q1:インドネシアでの取引では、インドネシアルピア(IDR)を使用しなければなりませんか。
A1:インドネシアでは、通貨法上、インドネシア国内における取引についてIDR使用義務が規定されています。2015年3月31日には、通貨規則通達が制定されており、現金決済のみならず、非現金決済についてもIDR使用義務の対象となっています。ただし、a)国家予算の執行の枠組みの中で行われる一定の取引、b)国外からまたは国外への受贈・贈与取引(一方当事者が国外に居住している)、c)外国貿易取引、d)銀行での外貨建預金、e)国際金融取引、f) 一定の法律に基づく取引等(銀行が行う外国為替取引、政府が発行する外貨建て証券市場での取引、法令に基づき実施される外貨建て取引、投資法に基づき実施される外国企業の設立時の払込資本金など)の取引については、IDR使用義務の適用対象外となります。
Q2:外国人(日本人)への給与支払いもIDR義務が適用されますか。
Q2:外資企業を含む、現地法人による従業員への給与支払については、インドネシア従業員および現地採用外国人に対してはIDR建てでの給与支払いが必要です。一方、本国(日本)からの駐在員に対して、IDR建てでの給与支払いについては、法令上、明確に規定されておりません。もっとも、実務上では、本国からの駐在の給与について、外貨建てで給与が支払われているケースも見受けられます。
Q3:価格表示についてもIDRを使用しなければなりませんか。
A3:通貨規則上、提供する物・サービスをIDR建てで表示しなければなりません。さらに通貨規則通達上では、IDR建てでの表示を義務付けるだけでなく、IDR以外の外貨との併記も禁じています。外貨との併記が禁止される対象として、通貨規則通達上、(a)値札、(b)サービスへの報酬、(c)不動産賃料、(d)港湾における積荷下ろし料金等、(e)レストランのメニュー等の価格表、(f)契約書における価格条項、(g)注文や請求に関する書類、または(h)領収書が列挙されています。
Q4:IDR使用義務に違反した場合の罰則はありますか。
A4:現金決済でIDR使用義務に違反した場合、1年以下の禁固(個人の場合)および2億IDR(法人の場合には3分の1を上限として加重可能)以下の罰金、事業許可の取り消しおよび/または資産の没収が科せられる可能性があります。また、日現金決済におけるIDR使用義務違反については、通貨規則の定めに従い、警告書の送付、取引金額の1%の罰金および/または支払い取引の禁止の制裁に加え、インドネシア銀行より所轄期間に対し、事業許可の取消しまたは事業活動の停止の勧告が行われる可能性があります。なお、IDR表示義務違反については、警告書の送付のほか、インドネシア銀行より所轄期間に対し、事業許可の取り消しまたは事業活動の停止の勧告が行われる可能性があります。
【製造物責任に関するQ&A】
Q1:インドネシアでの製造物責任に関して、どのような法規制がありますか。
A1:インドネシアでの製造物責任は、消費者保護に関する法律1999年第8号(以下「消費者保護法」といいます)によって規定されています。
消費者保護法において、事業者が製造または販売した商品や提供したサービスによって、消費者に対する損害が生じた場合、事業者はその損害を賠償する責任を負います(消費者保護法第19条)。
Q2:製造物責任において、どの当事者が責任主体に該当しますか。
A2:責任主体は、商品・サービスの製造・販売をする事業者および/または商品・サービスの輸入者です。ただし、損害が消費者の過失による場合には、免責されますが、事業者が消費者の過失を立証する必要があります(消費者保護法第22条)。責任主体のうち、他の事業者に販売する者は、①販売先の他の事業者がいかなる変更を加えることもなく、商品および/またはサービスを消費者に販売した場合や、②販売先の他の事業者が、販売者により改編が加えられたことを知らずに、見本と不一致があることや、品質・成分に不一致があるような契約に適合しない、相当でない商品、サービスを消費者に提供し、損害が発生した場合にも、責任を負います(消費者保護法第24条)。一方、製造事業者は、①商品の流通が意図されていなかった場合、②製品の欠陥が製造事業者の管理を離れた後、新たに生じた場合、③欠陥が品質基準に関する法令を遵守した結果である場合、④商品の購入から4年または、事業者と消費者で合意した期間を経過した場合には、免責されます(消費者保護法第27条)。
Q3:受領した商品に、不備等が発生した場合に、消費者救済のための法規制はありますか。
A3:消費者は、受領した商品またはサービスが契約に適合しない、または相当でない場合に、修理、交換または返品、商品価格の返還、もしくは当該商品と同等の品質の商品との代替を請求できます。(消費者保護法第4、7条)。また、損害が生じた場合には、取引日から7日以内に販売者による返金、交換等の対応が必要となり、本規定に応じない場合、消費者は、地方判所および消費者紛争解決機関(BPSK)に提訴できます(消費者保護法第19、45条)。
【インサイダー取引に関するQ&A】
Q1:インサイダー取引の対象はどのように規定されていますか。
Q1:法令上、インサイダー情報については、内部者が保有しており、一般には公開されていない重要情報と定義され、内部者には、(a)上場会社または公開会社の取締役、監査役、または従業員、(b) 上場会社または公開会社の主要株主、(c)上場会社または公開会社との職務・専門職または業務関係により、インサイダー情報を得ることが可能な個人、(d) (a)〜(c)に該当していた者で、過去6か月以内にその地位を退いた者が含まれます(資本市場法第95条)。また、内部者から不正にインサイダー情報を取得した者も禁止規定の対象となります。
Q2:禁止規定や罰則はどのように規定されていますか。
A2:インサイダー情報を用いて、他者に当該証券の売買を促すこと、インサイダー情報を第三者に提供すること、不正にインサイダー情報を取得し、それを基に取引を行うことは禁止されています。(資本市場法第96、97条)。上記に違反した場合、最長10年の拘禁および最大150億ルピア(Rp15,000,000,000)の罰金が科される可能性があります(資本市場法第104条)。
【内部通報制度に関するQ&A】
Q1:インドネシアで内部通報者保護に関する規制はありますか。
A1:インドネシアでは、内部通報者保護に関して、民間部門においては、法的枠組みは存在しておりませんが、公的部門において、関係する法制度が存在します。
内部通報者に関する定義においては、最高裁判所通達2011年第4号では、通報者(whistleblower)とは、組織または個人によって行われた特定の犯罪行為に関する活動について、自発的に情報を提供する個人を指すとされています。
Q2:内部通報者はどのようにその権利が保証されますか。
A2:証人および被害者の保護に関する法律2014年第31号(以下、「証人および被害者の保護に関する法律」といいます。)第5条の下、通報者は以下の権利が保証されています。
・証言を行う、または行ったことに関連する脅迫に対して、個人、家族、および財産の安全を確保するための保護を受ける権利
・保護および安全支援の形式の選択、決定する権利
・いかなる圧力も受けずに情報を提供する権利
・通訳を得る権利
・誤解を招くような質問を受けない権利
・裁判手続きの進捗について知らされる権利
・裁判の判決について知らされる権利
・被告人の釈放について知らされる権利
・身元を秘密にする権利
・新しい身元を取得する権利
・一時的な移転を受ける権利
・新たな居住地への移転を受ける権利
・必要に応じた交通費の補償を受ける権利
・法律相談を受ける権利
・保護が終了するまでの間、一時的な生活費を受ける権利
また、通報者を保護する権限を持つ機関としてLPSK(Lembaga Perlindungan Saksi dan Korban)が設置されており、LPSKは、a. )法律および規制に従い、保護対象者の身元を変更する、b.) 安全な避難施設を管理する、c.) 保護対象者をより安全な場所へ移動または再配置する、d.) 警備および護衛サービスを提供する、e.)裁判手続きにおいて証人及び/又は被害者を支援する権限を有しています(証人および被害者に関する法律第11条)。
【競争法に関するQ&A】
Q1 : 競争法上、禁止される協定にはどのようなものがありますか。
A1 : 法令上、禁止される協定として、①売手寡占協定、②価格拘束協定、③差別的対価設定、④廉売協定、⑤再販売価格拘束、⑥市場分割協定、⑦共同ボイコット協定、⑧カルテル協定、⑨トラスト協定、⑩買手寡占協定、⑪垂直的統合などが列挙されています。
Q2 : 売手寡占協定とはどのような協定ですか。
A2 : 他の事業者と商品またはサービスの製造および/または販売手段を共同支配する目的の協定を締結することを意味し、法令上、これにより、独占または不公正な競争を生じさせてはならないとされています。特定の商品またはサービスの販売市場において、当該事業者らの合算市場シェアが75%を超える場合には共同支配の目的が推定されます。
Q3 : インドネシアでの価格拘束協定の禁止について、どのように規定されていますか。
A3 : 価格拘束協定について、他の競争事業者と、同一の関連市場向けの特定の商品またはサービスについて、需要者または消費者が支払う価格を固定するべく何らかの協定を締結してはならないと規定されています。当該協定の事実があれば、競争への影響の有無にかかわらず違法になると考えられており、協定は書面、口頭等の形式を問わず、明示または目次の合意でもよく、状況証拠によっても認定され得ます。また、価格には価格そのものに加え、価格を決めるためのフォーミュラ(算定式)、リベート額、値引き率等も含まれます。
Q4 : インドネシアでの廉売協定の禁止についてはどのように規定されていますか。
A4 : 事業者は他の事業者と協定を結び、市場価格を下回る価格を設定し、不公正な競争を生じさせてはならいと規定されています。
Q5 : 市場分割協定の禁止はどのように規定されていますか。
A5 : 事業者は他の競争事業者と、価格に影響を与える目的で商品またはサービスの製造または販売について協定を締結し、もしくは、競争事業者間で販売地域や市場を割り当てる協定を締結することで、独占または不公正な競争を生じさせてはなりません。
Q6 : 共同ボイコット協定とはどのような内容ですか。
A6 : インドネシアにおける共同ボイコット協定について、事業者は他の競争事業者と、同種の事業を行っている第三者の競争事業者を妨害するような協定を締結すること指し、法令上、当該協定は禁止されています。また、他の競争事業者との協定に基づいて、他の事業者との取引を拒絶し、当該事業者に損害を与えるか、または損害を与えるおそれを生じさせるか、もしくは、当該事業者が関連市場から商品またはサービスを購入できなくしてはならいと規定されています。
Q7 : カルテル協定の禁止はインドネシアではどのように規定されていますか。
A7 : インドネシアでは、競争事業者同士が価格に影響を与える目的で協定を結び、その結果として独占または不公正な競争を生じさせることは禁止されています。例えば、生産量や販売量を調整する合意などがこれに該当します。
Q8 : 買手寡占協定の禁止はインドネシアではどのように規定されていますか。
A8 : インドネシアでは、事業者が他の事業者と共同して、商品またはサービスの購入・受領方法を支配することにより、独占または不公正な競争を生じさせる協定は禁止されています。
特に、当該購買市場における関係事業者の合算市場シェアが75%を超える場合には、共同支配の目的があると推定されます。例えば、複数の事業者間で、商品の価格を一定以下でなければ購入しない、また、一定量までしか購入しないなどの協定を締結することで、市場のマーケット量や価格をコントロールすることが該当します。
Q9 : インドネシアにおける差別的対価協定の禁止についてどのような規定されていますか。
A9 : 同一の商品またはサービスについて、ある買手に対し、他の買手が支払う価格と異なる価格を支払わせる結果となるような協定を締結することは禁止されています。なお、取引相手によっていかなる差異も許容されない趣旨なのか、また、競争への悪影響がある場合にのみ違法となるのかは、条文上では明記されていません。
Q10: インドネシアでの再販売価格協定の禁止とはどのような規定ですか。
A10: インドネシアでは事業者は取引相手が合意した価格よりも低い価格で、商品またはサービスを再販売することを禁止しています。たとえば、ある製造会社が販売店に対して、一定価格以下で販売することを拘束することは禁止されています。
Q11 : インドネシアでの排他的協定の禁止はどのような規定ですか。
A11: 事業者は、取引相手に商品またはサービスの再販売の取引相手および/または販売先地域を制限する内容の協定を締結することの禁止を意味します。また、事業者は取引相手に商品またはサービスを第三者から購入してはならない旨の内容の協定を締結してはなりません。なお、いかなる販売先制限も許容されない趣旨なのか、また、競争への悪影響がある場合にのみ違法となるのかは、条文上明らかではありませんが、委員会規則では、競争への悪影響の有無等を総合して判断するものとされています。
Q12: 独占金禁止に該当する行為には法令上どのようなものがありますか。
A12: 独占禁止に関する観点から禁止される行為には、法令上、①私的独占、②買手私的独占、③市場支配的行為、④共謀行為が挙げられます。
Q13 : 私的独占についてはどのように規定されていますか。
A13 : インドネシアでは、企業が商品の生産や販売方法をコントロールして、市場を独占したり、不公正な競争を引き起こしたりすることは禁止されています。
特に、次のような場合には、その企業が市場を支配していると判断されやすくなります。
・その商品やサービスに代わりとなる購入先がない場合
・他の企業が同じ事業に参入するのを妨げている場合
・市場シェアが50%を超えている場合
Q14 : 市場支配的行為とはどのような内容が含まれますか。
A14 : 市場支配的行為とは、企業が自分の力を使って、他の会社が自由に競争できないようにする行為のことをいいます。例えば、新しく参入しようとする会社を妨害したり、競争相手の顧客に対して取引をしないよう働きかけたりする行為がこれに当たります。また、商品やサービスの流通の制限、特定の会社だけを有利・不利に扱うような行為も含まれます。
このような行為は、公正な競争を妨げるため、インドネシアでは禁止されています。
Q15 : 共謀行為にはどのような内容が含まれますか。
A15 : 共謀行為とは、事業者が他の事業者と結託し、競争をゆがめる行為をいいます。
具体的には、入札においてあらかじめ受注者を決めてしまう行為(いわゆる談合)や、競争相手の営業秘密を不正に取得する行為が含まれます。また、競争相手の事業活動を妨害し、商品やサービスの供給を減らしたり、品質を下げたり、納期を遅らせるような行為も対象となります。
これらはいずれも、公正な競争を阻害するため、インドネシア競争法において禁止されています。
【外為法に関するQ&A】
Q1 : インドネシアでの外国為替取引はどのようなものをいいますか。
A1 : 外為法上、外国為替取引とは、居住者および非居住者間における金融資産・債務の移転(居住者間における国外金融資産・債務の移転を含む)を伴うものと定義されており、端的には、国をまたいでお金や資産をやり取りする取引のことをいいます。
具体的には、インドネシアの居住者と海外の非居住者との間で、資金の支払いや貸付、投資などを行う場合がこれに当たります。また、居住者同士であっても、海外にある資産や債務を移転する取引は外国為替取引として扱われます。
Q2 : インドネシアにおいて、外国為替取引は認められていますか。
A2 : インドネシアでは、外国為替取引自体は原則として認められています。
もっとも、すべてが自由というわけではなく、外国為替取引を行う場合には、インドネシア銀行(中央銀行)に対して一定の情報を報告する義務が課されています。具体的な報告内容や手続については、インドネシア銀行の規則で定められています。
なお、日本の外為法のように、取引を「経常取引」と「資本取引」に明確に区分する規定は、インドネシアの法令上は特に設けられていません。
Q3 : 外貨をインドネシアで購入することはできますか。
A3 : インドネシアでは外貨の購入自体は可能ですが、一定の条件や制限があります。
特に、IDR(インドネシアルピア)で毎月10万米ドルを超える外貨を購入する場合には、その取引の正当な目的を銀行に証明する必要があります。これは、投機的な取引によってルピア相場が大きく変動するのを防ぐための措置です。
例えば、売買契約やローン契約に基づく支払いのために外貨が必要な場合には、その契約書を銀行に提出することで、外貨の購入が認められます。
Q4 : 外貨の国内外への持ち込み持ち出しは可能ですか。
A4 : 外貨の持ち込み・持ち出し自体は可能ですが、一定額を超える場合には制限があります。
具体的には、10億IDR相当額を超える外貨をインドネシアに持ち込んだり、国外へ持ち出したりする場合、銀行や認可された両替業者など、インドネシア銀行の許可を受けた事業者以外は行うことができません。
この規定に違反した場合には、持ち込んだまたは持ち出した金額の10%(最大3億IDR)の罰金が科される可能性があります。
【紛争解決に関するQ&A】
Q1 : インドネシアでの紛争解決方法にはどのようなものがありますか。
A1 : インドネシアにおける紛争解決には、①インドネシア国内裁判、②外国での裁判、③インドネシア国内仲裁、④外国での仲裁が挙げられます。
Q2:インドネシア国内仲裁ではどのような手続きが行われますか。
A2 : インドネシアにおける仲裁手続きは、仲裁法に基づいて行われます。
実務上は、当事者間で仲裁合意がある場合、裁判所ではなく仲裁機関を利用して紛争を解決します。代表的な機関として、インドネシア商工会議所が設立したBANI(インドネシア国家仲裁機関)があります。
手続きとしては、まず申立てを行い、仲裁人が選任されます。その後、当事者双方が主張や証拠を提出し、審理が進められます。最終的には仲裁判断が下され、この判断は原則として最終的なものとなり、裁判のように上訴することはできません。
Q3 : 外国仲裁で一般的によく利用されるのはどの機関ですか。
A3 : 外国仲裁を選択する場合、インドネシア企業との間の契約においてよく利用されているのは、インドネシアから地理的に近いシンガポールにおけるSIAC(Singapore International Arbitration Centre)での仲裁です。そのほか、日本の一般社団法人日本商事仲裁協会(JCAA)における仲裁とする場合や、ICC(International Chamber of Commerce)による仲裁をシンガポールで行う旨の合意も見受けられます。
Q4 : 外国仲裁と国内仲裁を利用するそれぞれのメリットは何ですか。
A4 : 国内仲裁と比較した場合の外国仲裁を利用するメリットとしては、一般的に、比較的公平かつ合理的な仲裁審理・判断が来たい可能なことが挙げられます。
これに対し、国内仲裁のメリットとしては、外国仲裁に比較して、直接的にインドネシア国内での執行が可能であること、費用が安価であること、案件によってはインドネシア企業との交渉が進めやすいことが挙げられます。

